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天声人語

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2009年11月27日(金)付

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 しっくりこない日本語訳というのがある。欧州委員会もその一つだ。欧州連合(EU)の行政機関(コミッション)だが、職員2万5千人を擁する権力の呼び名としては軽い。昔の名前が似合わないところまで、欧州統合が進んだ結果でもあろう▼EUの仕組みがややこしいのは、「超国家」ならではの組織があるせいだ。国家主権の一部を欧州委員会や欧州議会なるものに譲り渡すということが、そもそもピンと来ない▼その点、欧州理事会、つまり首脳会議は分かりやすい。加盟27カ国のトップが国益をぶつけ合う場である。仕切り役はこれまで、半年ごとに交代する議長国だったが、4日後に発効する新条約で常任議長(プレジデント)が置かれることになった▼この職を、我ら日本メディアはEUの大統領になぞらえる。なるほど、欧州の顔を期待された新ポストではあるが、初代のファンロンパウ・ベルギー首相は国際的には無名で、肩書に比して地味な人選だ▼これがブレア前英首相あたりだと、サルコジ仏大統領やメルケル独首相ら現役の首脳が食われかねない。こうした場合、大国以外で重職を担える国は限られる。創設メンバーのベルギー、オランダ、ルクセンブルク。いつもの、困った時のベネルクスである▼一つの市場と通貨に続くEUの挑戦は、外向きに一つの顔と声を持つことだ。それぞれ、近く生まれる「大統領と外相」が担う。地位が人を作ることもあろう。欧州の冒険を応援してきた一人として、この呼び名が「重すぎる誤訳」にならぬことを祈る。

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