HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59502 Content-Type: text/html ETag: "391ceb-161e-405dec00" Expires: Wed, 25 Nov 2009 22:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 25 Nov 2009 22:21:05 GMT Connection: close 日米密約調査 核抑止力の低下は避けよ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

日米密約調査 核抑止力の低下は避けよ(11月26日付・読売社説)

 核持ち込みなどに関する「日米密約」の真相究明は、日本外交への国民の信頼を回復するために重要だ。だが、その結果、米軍の核抑止力を低下させる事態は避けねばなるまい。

 密約問題を検証する外務省の有識者委員会の初会合が27日に開かれる。外交文書に関する内部調査結果を基に、外務省OBらの聞き取り調査も実施し、来年1月に報告書を岡田外相に提出する。

 検証対象は、1960年の日米安保条約改定時に、核搭載の米軍艦船や航空機の日本寄港・通過を事前協議の対象外としたとされる件など四つの密約問題だ。

 核持ち込みについては既に、公開された米外交文書や元外務次官らの最近の証言により、「密約はない」とする政府見解の維持が困難となっていた。さらに、今回の外務省調査で、密約の存在を裏付ける文書が見つかったという。

 政権交代を機に、岡田外相が密約の調査・検証を始めた意義は小さくない。政府が、その結果を踏まえて、密約の存在を正式に認めることが、国民の不信感を解消する一歩となろう。

 ただ、政府が東西冷戦期に、国民の核アレルギーに配慮しつつ、米国の「核の傘」の実効性を確保するため、密約を結ばざるを得なかった事情は理解できる。

 有識者委員会は、当時の時代背景も踏まえて、密約締結の経緯をきちんと検証してほしい。

 外交交渉には秘密が付き物だ。相手国との信頼関係を維持し、関係者への悪影響を避けるため、すぐには公開できない情報は多い。一定期間の後、どんな条件の下で公開するのが適当なのか、議論を深めることが大切だろう。

 今後、重要なのは、核を「持たず、作らず、持ち込ませず」とする非核三原則のあり方の議論だ。

 北朝鮮が核保有を公言するなど現在の日本の安全保障環境は厳しい。米軍の核抑止力を維持、向上させることが求められる。

 米国は91年に米軍艦船・原潜から戦術核を撤去した。当面は、核持ち込みの事態は想定されにくくても、中長期的に、近隣国が核や生物化学兵器で日本の安全を脅かす事態がないとは限らない。

 様々な事態の変化に対応できるよう、軍事面の柔軟性を確保することが、安全保障の要諦(ようてい)だ。

 核を「持ち込ませず」のうち、陸上への核配備の禁止は継続しても、核搭載艦船や航空機の寄港・立ち寄りは可能とする「非核2・5原則」の採用を、前向きに検討していいのではないか。

2009年11月26日01時06分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です