HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 25 Nov 2009 21:16:25 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:官房機密費 本当に必要な金なのか:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

官房機密費 本当に必要な金なのか

2009年11月25日

 最近五年半の官房機密費(内閣官房報償費)の支出状況が公表された。そもそも機密費は本当に必要な金なのか。必要分は認めるとしても、使途についても、一定期間後に公表すべきではないか。

 官房機密費は毎年約十四億六千万円が計上されている。公表されたのは、内閣情報調査室所管の約二億三千万円を除く官房長官所管分。記録が残る二〇〇四年四月以降の支出月額は公表されたが、支出先や使途は非開示とされた。

 機密費は、官房長官の判断で領収書なしで自由に使えるとされる。歴代政権は「国の事務、事業を円滑、効果的に遂行するための経費」と説明してきたが、海外出張する政治家への餞別(せんべつ)、与野党議員に対する背広代やパーティー券購入など国会対策に充てられていたことが明るみに出ている。

 そもそも、支出先や使途を秘匿してまで支出する必要のある金とは、いったいどんなものなのか。餞別や国会対策が、それに当たるとは到底思えない。

 いっそのこと官房機密費は全廃して、必要分は堂々と予算要求したらどうか。

 機密費が、国民の生命、財産の保護に深くかかわることに使われるのなら異論はない。支出先や使途を秘匿しなければ、情報収集活動に支障が出ることがあるかもしれないことは理解する。

 だとしても、何年か後には公表し、その妥当性を歴史の検証に委ねる仕組み作りが必要だ。いずれは公開されるという緊張感がなければ、非開示をいいことに、裏金化する可能性が十分あるからだ。

 麻生自民党政権が衆院選惨敗直後に、通常の二・五倍に当たる二億五千万円を引き出したのも、支出先や使途は追及されないという緊張感の欠如からではないのか。

 民主党は野党時代の〇一年、機密費に支払記録書の作成を義務づけ、機密性の高いものは二十五年、それ以外は十年後に情報公開を義務づける官房機密費流用防止法案を国会に提出した。

 政権奪取を果たした今こそ、その志を遂げるときだ。支出月額の公開は半歩前進と受け止めるが、野党時代、機密費の徹底公開を迫っていた鳩山由紀夫首相は率先垂範して、一定期間後の支出先と使途の公開を進めるべきだ。

 いっそのこと、官房機密費も事業仕分けの対象にしてはどうであろうか。「必殺仕分け人」から必要性のお墨付きを得られれば、国民も納得がいくだろう。

 

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