HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59442 Content-Type: text/html ETag: "391ce1-1634-dedfd240" Expires: Wed, 25 Nov 2009 00:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 25 Nov 2009 00:21:09 GMT Connection: close 高校推薦入試 弊害は速やかに改善すべきだ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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高校推薦入試 弊害は速やかに改善すべきだ(11月25日付・読売社説)

 全国の都道府県教育委員会で、公立高校の推薦入試の見直しが進んでいる。弊害が目立ち始めた制度は、速やかに改善していくべきだろう。

 推薦入試は、個性的・意欲的な生徒の受け入れを目指し、内申書や面接、作文などで選抜する。

 読売新聞の調査では、以前から推薦入試を実施していない大阪府を除く46都道府県のうち、2県が廃止済みで、6県が廃止予定だ。これを含め、推薦入試の見直しを進めているのは約4割に上る。

 高校入試には、1980年ごろから工業、農業などの専門学科を中心に導入され、90年代には普通科にも広がった。公立高校全体では、募集定員の3割前後が推薦入学とみられる。

 中学校の進路指導ではかつて、業者テストの偏差値で生徒の受験高校を割り振るなど、過度の「偏差値信仰」があった。その是正のため、推薦入試は旧文部省の通知でも推奨された経緯がある。

 多様な選抜方法や評価の尺度はあってよい。スポーツ、芸術など特定の分野に秀でた能力や意欲のある生徒には、有利な制度だ。一発勝負の試験でたまたま力を出し切れない不運も避けられよう。

 だが、問題点も表れてきた。

 一部の難関校を除き、少子化で高校進学は容易になった。学力試験のない推薦枠が増えて「勉強しなくても高校に入れる」という誤解を生み、一般入試より早く合格が決まるため学習意欲が下がっている、との声が出ている。

 中学校長による推薦基準が不明確で、推薦を受けられる生徒だけ受験機会が増えるのは不公平という指摘もある。このため、校長推薦がなくとも、自らの意志で出願できる「自己推薦型」の入試を導入するところが増えている。

 だが、「合格基準が曖昧(あいまい)」と再見直しを検討中の教委もある。

 学力低下は深刻だ。国際学力調査で小中高校生の学力低下が表面化し、大学では、学力試験のない推薦、AO入試で入学する学生の学力不足が問題視されている。

 高校は進学率98%に上るが、義務教育ではない。入試はその入り口で、志願者の学力を把握し、入学後の指導に生かす機会だ。

 偏差値依存への逆戻りは避けねばならないが、各教委は高校の特色を生かせる形での入試制度を作り上げてほしい。私立高も推薦入試を生徒を確保するためだけの手段にしてはなるまい。

 中学校の進路指導も重要だ。生徒の能力や適性を十分理解し、それに合う選択を手助けしたい。

2009年11月25日00時47分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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