HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 25 Nov 2009 00:16:32 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:戦後、旧ソ連のシベリアなどに抑留された元軍人らでつくる全国…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年11月25日

 戦後、旧ソ連のシベリアなどに抑留された元軍人らでつくる全国抑留者補償協議会(全抑協)の平塚光雄会長(82)と初めてお会いしたのは六年前になる。都連の会長だった平塚さんは「奴隷の汚名を着せられたまま死にたくない」と国会の議員会館前に仲間と座り込んだ▼十五歳で海軍に志願して飛行兵に。朝鮮半島の基地で特攻訓練中に敗戦を迎えた。抑留中は氷点下四〇度の中、森林伐採などの労働を強いられた。カエルやヘビなど生きているものは何でも捕らえて食べたという▼衰弱した仲間は相次いで倒れた。四年二カ月間の抑留後、帰国した平塚さんを待っていたのは「共産主義に洗脳された」という冷たい社会の視線。就職差別に苦しみ抜いた▼南方で捕虜になった軍人には政府が労賃を払ったが、シベリア抑留者には支払われていない。「賃金なしで働くのは奴隷」という考えが平塚さんたちの原点だ▼抑留者に百五十万〜二十五万円の特別給付金を支払う「戦後強制抑留者特別措置法案」の今国会での成立が見えてきた。民主党などがまとめた法案に、三年前に十万円分の旅行券などを贈呈して「幕引き」を図った自民、公明両党も賛成の意向で、与野党で議員立法の法案を提出する▼心配は国会の混乱だ。抑留された約五十七万人のうち生存者は九万人。平均年齢は八十七歳を超えている。もう時間はない。

 

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