晩秋の空に白や淡いピンクの御影石が映え、「白亜の殿堂」が約70年ぶりに蘇(よみがえ)った。国会議事堂の化粧直しである。首相官邸や中央省庁の建て替えに続く、今回の議事堂。これで「あの話」は消えたと思っていたらどうもそうではない。
▼首都機能を地方に移す構想のことだ。10年前に移転先を3カ所に絞ったころがピークで、その後議論は下火になった。しかし、霞が関には今も担当課があり、調査費もついている。議員提案の国会等移転法という法律があるためらしい。現実がどうあれ、法律がなくならない限りは組織と予算も続くという理屈だ。
▼日本には政省令を含め法令は7360程度あり5年前より約200増えている。お役人がそれだけ仕事に熱心ならば構わないが、似たような内容が目立ち各省庁が縦割りで担当している。物価統制令などといういかめしい名前の法律も現役だ。終戦直後につくられ、今も公衆浴場の入浴料金を規制しているそうだ。
▼行政刷新会議の「事業仕分け」が後半戦に入った。「廃止」「減額」と小気味よいが、役所側の不満は根強い。国会議事堂と同じで長年にわたって染み付いたものは簡単には落ちないのだろう。「戦後行政の大掃除を」と鳩山さんは意気込んでいるのだから、「法律の仕分け」にも一度挑戦してみてはどうだろう。