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春秋(11/24)

 同じ種でも、少しでも自然環境に適した特徴を持った個体が生存競争を勝ち抜いて子孫を残していく。「自然淘汰」説で進化の謎を解いたダーウィンの「種の起源」が英国で出版されたのが150年前のきょう。彼が50歳のときである。

▼そのずっと前、20代の5年にわたる世界一周航海の途上で進化論のヒントを見つけた場所が、いま日本で盛んに引き合いに出される。南米エクアドルから西へ約1000キロ、太平洋上に浮かぶガラパゴス諸島だ。隔絶した孤島という環境で、ゾウガメやイグアナなどの生き物がほかで見られぬ独自の姿に進化した。

▼そんな島になぞらえ、国内市場だけに向けて進化し海外では通用しない商品やサービスを称して「ガラパゴス化した」という。携帯電話が代表格だが、このたとえ、ダーウィンなら首をかしげるかもしれない。島の生き物たちはそもそもよそへ行く術(すべ)がない。日本は行けるのに行こうとしないだけではないか、と。

▼どんなに気に入った仮説でも、事実がそれに反すると証明されればすぐそれを放棄するため、いつでも自分の心を自由にしておくように努めてきた。ダーウィンは自伝にそう書いた。若き日の大冒険も、あえて自説を捨てるのも、自由と勇気あればこそ。大ベストセラー「種の起源」はその精神のたまものだった。

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