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国際機関援助 「倍加」を表明して削減とは(11月24日付・読売社説)

 途上国支援を強化すると国際公約しながら、鳩山首相が、支援で中核的役割を担う国際機関への援助を削減するのは、筋が通らない。

 国際機関向けの拠出金は、小泉政権が「聖域なき構造改革」の一環として政府開発援助(ODA)の削減に踏み切って以来、年々減っている。ピーク時の2001年度と比べて、4割以上も減少した。

 そうした中、鳩山首相は9月の国連演説で、国際機関と連携しながら途上国支援への努力を「倍加したい」と表明した。国際機関側に日本の拠出増に対する期待感が広がった。

 ところが、実際の拠出額は、すでに来年度概算要求ベースで今年度を下回っている。さらに一部の拠出金は、行政刷新会議の事業仕分けの対象に挙げられた。

 国連開発計画(UNDP)、国連人間居住計画(HABITAT)、国連ボランティア計画(UNV)などだ。いずれもアフガニスタンなどに職員を派遣し、実際に汗を流している組織である。

 政府は先に、アフガニスタンの民生支援のため5年間で最大50億ドル(約4500億円)を拠出することを表明した。旧タリバン兵士の職業訓練や農業開発などだ。

 だが、現地の治安状況が改善せず、日本人が現地で活動することは容易ではない。このため、日本の支援の実態は、UNDPなどに資金を渡し、各機関のスタッフや派遣ボランティアに活動してもらう形となる。

 そうした活動経費は、通常の拠出金とは別に予算を確保するつもりかもしれない。しかし、国際機関に頼らざるを得ない現状を思えば、主に国際機関の運営費に充てられる拠出金を大幅に切り詰めることが、適切とは思えない。

 日本は、各国際機関で上位拠出国の地位を喪失しつつある。各機関への幹部職員の送り込みが進まなかったり、執行理事会メンバーから日本が外れたりするのは、これまでの拠出金削減が影響しているとの指摘もある。

 国際機関自体の予算は膨張傾向にある。拠出国として抑制を促すことは大切だ。国際機関における日本人職員の増員に向けた努力もいっそう強化すべきだ。

 そうした資金拠出以外の取り組みを前提としてもなお、安易な削減は、国際社会における日本の発言力低下を招く恐れがある。

 事業仕分けで予算カットに汲々(きゅうきゅう)とするあまり、日本の外交にマイナスの影響を与えるような結果になっては困る。

2009年11月24日01時08分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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