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社説1 事業仕分け生かし質の高い予算をぜひ(11/22)

 2010年度予算案の年内編成を目指す作業が終盤に差し掛かってきた。行政刷新会議は歳出の無駄を洗い出す「事業仕分け」で後半の作業に入り、月末に結果を総括する。

 民間の識者も交えた公開の議論で予算要求が妥当かどうかを見極める事業仕分けは、前半5日間の作業で約240事業を検証した。対象事業の大半について、概算要求した予算の廃止や計上見送り、減額などを判定した。独立行政法人や公益法人が抱えていた基金の返納も求めた。

 前半の作業では予算削減で4000億円、基金の返納で9000億円程度と、合計1兆3000億円の「無駄」が洗い出された。後半も約200の事業を検証する。仕分け作業のインターネット中継は連日、最も多いときで1万人を超す人が見て、作業に対する関心の高さを示した。

 議論の進行が強引だった、専門知識のない人が判断するのは不適切だ――。そんな批判も聞かれる。作業に改善の余地はあろう。だが要求側が予算の必要性を説明し、一般の目で納得できるかどうかをガラス張りで議論したのは、大きな前進だ。

 事業仕分けは単に予算額を削るための枠組みではない。これは現場や一般の感覚で見た予算や制度の総点検だ。具体的な予算に仕上げていくのはまさに政治の責任である。

 行政刷新会議は今回の仕分け作業で扱わなかった事業や予算についても、各省庁で重複がないか、「モデル事業」と銘打ちながら効果も検証せずに長年続けていないかなどの点を洗い出す方針だ。仕分けの成果を十分に生かし、旧態依然の予算構造を質の高いものに変えてほしい。

 鳩山由紀夫首相は10年度予算での新たな国債の発行を、麻生前政権が09年度補正予算を組んだ時点の44兆円以下にすると明言している。歳出の要求が95兆円を超す一方、税収は40兆円程度にとどまる公算が大きく、10兆円を超す収支の差を埋めないと、この目標を達成できない。

 国家戦略室は民主党が衆院選の政権公約に挙げた政策も例外とせず、歳出の見直しを進める。高速道路無料化の対象を限定したり、子ども手当に所得制限を設けたりする案が閣内からも出ている。公約に固執せず、財政事情に合わせて政策の規模や内容を変えるのは当然の判断だ。

 財政規律を保つために無駄を削るのは大切だが、同時に足元の景気や企業活動、日本の競争力への配慮も必要だ。経済成長を担う産業をどう伸ばし、研究開発力や技術力をどう強化していくかも戦略的に考えて、限られた予算を配分してほしい。

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