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バブル散っての就職氷河期は大量のフリーターを生んだ。その世代に属す作家の平野啓一郎さん(34)が、近刊の「朝日ジャーナル別冊」で京大時代の就職観に触れている。就職活動の友も、掲載のあてなく小説を書く自分も暗かったという▼「どこで働きたいか、せっぱ詰まっていたわりに全然思いつきませんでした。あんまり歓迎されないまま社会に出ることになった辛(つら)さは、同世代間にも歪(ひず)みを残したと思います」。23歳で芥川賞を取るほどの異才は別として、安定職への道はますます険しい▼来春卒業予定の大学生の就職内定率(10月1日現在)は62.5%。去年の同じ時期より7.4ポイントも低く、最近の底だった03年の60.2%に近い。昨秋からの世界不況が招いた、再びの氷河期らしい▼昨今の就活は3年生の秋からもう本番だ。まずは大学による説明会、年が変わって会社訪問や面接、春には内定が出始める。本紙オピニオン面に登場した学生さんは「就活の開始から逆算して、大学生活が追い立てられる」とこぼしていた▼正規雇用の門が狭くなれば、就活はなお忙しい。100社200社と門をたたき、たとえ志望の業種や企業でなくてもまず内定を得る作戦となる。縁に恵まれず、後輩に交じって落葉のオフィス街を回るのは辛い▼前倒し、新卒での一発勝負という就職戦線は、学生にも採用側にも当たり外れが大きい。適齢をどんな経済状況で迎えるかは運頼みだし、適材は既卒にもいよう。互いに歪みを残さないよう、出会いの風景はもっとおおらかでありたい。