HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59038 Content-Type: text/html ETag: "39643f-160f-8a007540" Expires: Thu, 19 Nov 2009 03:21:50 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 19 Nov 2009 03:21:50 GMT Connection: close クロマグロ規制 トロを楽しむには我慢も必要 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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クロマグロ規制 トロを楽しむには我慢も必要(11月19日付・読売社説)

 来年以降、マグロのトロが、食卓から徐々に消えていくのだろうか。

 大西洋と地中海のマグロ漁を管理する国際委員会が、最高級のマグロとして人気が高いクロマグロの来年の漁獲枠を、今年より4割減らすことで合意した。

 この海域のクロマグロが乱獲で急減しているからだ。欧州の一部の国からは輸出入の全面禁止を求める声も出ており、今回の漁獲枠の大幅削減は、全面禁輸を阻むため、大口輸入国である日本などの提案で実現した。

 全面禁輸となれば、日本は国内消費量の半分を失い、食生活や関連産業への影響は計り知れない。規制強化はやむを得ない。

 国際委員会の科学的な推計によると、今回の漁獲枠削減を順守できれば、全面禁輸をしなくても資源の回復は可能という。日本は世界のクロマグロの8割を消費する国として、資源管理に積極的に取り組まねばなるまい。

 水揚げから加工まで追跡調査ができる仕組みづくりや、漁船の減船にも取り組む必要がある。道半ばにあるマグロの完全養殖などの研究開発も急いでほしい。

 大西洋におけるクロマグロの生息数は、ピーク時の30万トンから8万トン前後にまで急減している。

 その一因は地中海での「蓄養」の普及だ。巻き網漁で幼魚を含めて根こそぎマグロを()り、いけすに移して大量にえさを与え、トロの部分を増やして出荷する。

 日本はこの蓄養マグロを大量に輸入し、おかげで高級食材だったトロは、回転ずしでも食べられるようになった。

 だが、蓄養ビジネスは地中海での乱獲や密漁に拍車をかけ、度重なる漁獲規制の強化も効果をあげてこなかった。

 これに業を煮やしたのが、地中海の小国モナコだ。環境保護団体の後押しを受け、大西洋クロマグロをワシントン条約の「絶滅危惧(きぐ)種」として、輸出入を全面禁止するよう提案した。

 モナコの提案を支持する国も多い。今回の漁獲枠削減で全面禁輸が避けられるかどうかは、なお予断を許さない。

 大西洋以外の海域や、クロマグロ以外のマグロでも、漁獲規制強化の動きが相次いでいる。

 もう日本が世界中のマグロを独り占めできる時代ではない。中長期的には、価格の上昇は避けられないだろう。

 日本の消費者がトロを食べ続けるには、この現実を受け入れなければならない。

2009年11月19日01時14分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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