HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 18 Nov 2009 23:17:28 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ミャンマー 対話ムード実らせたい:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ミャンマー 対話ムード実らせたい

2009年11月19日

 米国が制裁一辺倒だったミャンマー軍事政権との直接対話に乗り出した。力を増す中国を懸念しての転換だが、孤立を深める軍政にも好機ではないか。民主化に向けこの対話ムードを実らせたい。

 シンガポールで十五日に開かれた米国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の初の首脳会談で、オバマ米大統領とテイン・セイン軍政首相が同席した。

 両国首脳の顔合わせは一九六六年以来、実に四十三年ぶりだった。オバマ大統領は直接、自宅軟禁中の民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんを含む全政治犯の解放を求めたが、共同声明では解放にはふれなかった。従来の米国なら、声明に盛り込むよう強く要求したに違いない。

 経済や金融分野で欧米諸国は徹底した制裁を続けてきたが、結局、国民生活を疲弊させただけで、軍政は民主化に口出ししない中国に頼り、親中国の国家になってしまう「失敗」を招いた。米国の直接対話は、これ以上の中国進出を止めたいアジア戦略だろう。

 ミャンマーをめぐる米中の駆け引きは今後、激しくなるだろう。米国が主導権争いのあまり、民主化で軍政と大きく妥協するようなことになれば、ミャンマー国民には来年予定の総選挙を含め、取り返しのつかない損失になる。

 ミャンマーでは中国へ石油や天然ガスを輸出するパイプラインの建設が始まった。中国依存はますます強まる傾向にある。

 一方、伝統的な援助国である日本は、民主化問題で新規の経済協力は原則凍結してきたが、鳩山由紀夫首相は米国の直接対話を後押しするために、人道支援や人材育成の援助を段階的に拡大する方針を表明した。国際的な孤立が避けられれば、米国から警告される北朝鮮との軍事交流に走る必要もなくなるだろう。

 九〇年の総選挙で圧勝したのはスー・チーさんたちだ。再試合のはずの来年の総選挙なのに、前回勝者のスー・チーさんを軟禁したまま、議席の四分の一は軍人と決めるなど、軍政は都合よく準備を進めている。

 これまで強硬姿勢を貫いてきたスー・チーさんも対話ムードに望みをつなぐように、軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長に「国益のために協力できる分野がある」と書簡を送り、話し合いを求めている。

 通算十四年に及ぶ軟禁に耐えてのこの願いが届かぬものか。

 

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