HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 18 Nov 2009 23:17:23 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:人事官人事 天下り根絶手綱締めよ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

人事官人事 天下り根絶手綱締めよ

2009年11月19日

 江利川毅前厚生労働次官の人事院人事官への起用が国会で同意され、総裁に任命された。官僚出身の谷公士前総裁の後任だが、民主党が目指す天下り根絶の理念がかすむ。手綱は緩めるべきでない。

 人事院は、争議権などの労働基本権を制約されている国家公務員の給与を勧告したり、採用試験を行う独立行政委員会。国会で同意された特別職の人事官三人のうち一人を政府が総裁に任命する。

 鳩山由紀夫首相は国会答弁で、江利川氏起用について「公務員制度を知り尽くしている方が(人事官に)最低一人いないと大きな改革はできない。府省庁が権益を守るために役所OBを配置する天下りとは違う」と、理解を求めた。

 鳩山内閣は、公務員の労働基本権回復や新たな幹部職制度実施、国家公務員の総人件費二割削減など、マニフェストで掲げた公務員制度の見直しに取り組む方針だ。

 抜本改革断行のため、行政組織に通じた官僚出身者が人事官に必要というのが首相の説明だが、官僚出身者に自らの身を切るような改革ができるのか。

 歴代総裁は官僚出身者とはいえ、「天下りあっせんの全面的禁止」を掲げた民主党政権としては、官僚出身者以外の起用の道を探るべきだった。

 斎藤次郎元大蔵次官の日本郵政社長起用に続く、江利川氏の人事官起用である。天下り根絶という国民との約束が、なし崩し的に破られるのではないか、という疑念が出てきたことは否めない。

 国民は、天下りや「渡り」と呼ばれるその繰り返しで、官僚出身者が高額報酬や退職金を受け取り続けることに怒りを感じてきた。

 鳩山内閣は答弁書で、天下りを「府省庁が退職後の職員を企業、団体などに再就職させること」と規定し、「府省庁によるあっせんを受けずに適材適所の再就職をすることは、天下りに該当しない」と定義づけた。

 内閣や所管大臣の判断による起用は天下りに該当しないという論法で斎藤、江利川両氏の起用を正当化することに、国民の理解を得られるのか、甚だ疑問だ。

 鳩山内閣は、国が所管する二十八独立行政法人の役員五十人を公募中だ。官僚の天下り根絶に向けた試みだが、その一方で官僚出身者を要職に起用するのは「頭隠して尻隠さず」ではないのか。

 鳩山首相は、天下りに対する国民の怒りを真正面から受け止めてほしい。

 

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