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社説2 米中は環境でも責任果たせ(11/18)

 就任後初めて中国を訪問したオバマ米大統領は17日、北京で胡錦濤国家主席と会談した。両国は「持続的でバランスのとれた貿易と成長」を目指す共同声明を発表した。地球温暖化対策での協力も約束した。

 中国はグローバル経済での影響力を高め、米中二大国つまり「G2」とまで呼ばれるようになった。世界金融危機の根っこにある経常収支の不均衡は、米中間で際立っている。環境問題もしかりで、米中は二酸化炭素(CO2)の排出量で世界1位と2位。合計で約4割に達する。

 不均衡問題に関連して大統領は、米ドルに事実上固定されている人民元の切り上げを促す意向を事前に示していた。会談後の記者会見では、中国政府が「市場指向の為替制度の改革を進める意思を示した」と述べるにとどまった。最大の米国債保有者である中国への配慮ともいえる。

 中国の硬直的な為替政策が、世界経済の不安要因になっているのは否定できない。通貨高圧力に直面する他のアジア諸国は大迷惑だ。金融政策では「国際経済への影響を適切に注視」することを共同声明は明記したが、中国は為替政策を柔軟にすると同時に、内需主導の成長を促す国内改革を急いでほしい。

 首脳会談の具体的な成果として両首脳が強調したのは、「クリーンエネルギー研究センター」の設立である。1億5000万ドルを投じ、米中それぞれに本部を設ける。米国は消費主導の成長が難しくなった経済の立て直しの切り札として、環境分野に期待する。その有望な市場である中国に足場を築くことを狙った。

 残念なのは、米中ともにポスト京都議定書に向けた地球温暖化ガスの削減目標を具体的に打ち出していないことだ。共同声明で格調高く温暖化対策での協力をうたいあげてはいるが、世界の二大排出国として責任を果たしているとは言い難い。

 大統領はチベット仏教の指導者ダライ・ラマ14世との対話再開を中国側に促した。人権や台湾問題では中国の立場への配慮が目立った。

 米中首脳は2国間関係にとどまらず、世界を語り合った。普天間基地の移設問題に足をとられた鳩山由紀夫首相との会談に比べ、米中は国際問題での意見交換が際立っていた。

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