HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59065 Content-Type: text/html ETag: "391c58-15d3-42dabe00" Expires: Wed, 18 Nov 2009 02:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Wed, 18 Nov 2009 02:21:09 GMT Connection: close オバマ初訪中 実利優先で新時代は築けるか : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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オバマ初訪中 実利優先で新時代は築けるか(11月18日付・読売社説)

 初のアジア歴訪中のオバマ米大統領が、北京で胡錦濤・中国国家主席と会談した。

 両首脳は、世界不況の克服、地球環境問題への取り組み、北朝鮮やイランの核問題、アフガニスタン、パキスタンでのテロ対策など幅広く協議し、共同声明として発表した。

 すべての問題で合意したわけではないが、両国が互いに協調し、今後も課題解決に向けて、首脳間で話し合っていくことを確認した点に意義があったのだろう。

 米中国交正常化から今年で30年を迎えた。オバマ政権の下で、両国は体制の違いを直視しつつも、実利を優先させる新たな時代に入ったとも言える。実利優先はいいが、米国は自由・民主・人権といった原則の尊重を中国に引き続き求めていくべきだ。

 来月開かれる気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)への対応では、会議の成功に向けて努力することで一致したが、具体策の合意はなかった。

 二酸化炭素(CO2)の排出量で世界1位の中国と2位の米国が動いてこそ問題は前進する。

 焦点だった人民元の切り上げ問題では、米国は、貿易不均衡の是正に向け、人民元の上昇を望んできた。しかし、中国当局は為替介入を実施し、昨夏ごろから相場はほとんど動いていない。

 会談の内容は明らかでないが、人民元を徐々に変動させていくという中国の従来の方針を、大統領が容認したとみられる。

 中国は米国債の最大の保有国だ。結局、早急な人民元高を避けたい中国の意向が通った形だ。中国マネーに頼る米国の弱みを浮き彫りにした合意と言えよう。

 終了後の両首脳による共同会見で、大統領は少数民族の人権や宗教の自由尊重などが「普遍的な権利である」と強調した。

 チベット問題でも亡命政権の最高指導者ダライ・ラマと中国政府の対話を再開するよう求めた。

 台湾問題では、最近の中台協議の進展を称賛し、米国は「一つの中国」の原則を認めると同時に、米国内法である「台湾関係法」に基づいて台湾問題を処理していく方針を再確認した。

 米国として譲れない原則を表明したのは当然のことだろう。

 大統領の訪中に先立ち、中国当局は、人権改善を求める民主活動家や、民間活動団体(NGO)の関係者を一時的に地方に強制連行したり、身柄を拘束したりした。オバマ大統領への直訴を恐れたものだ。極めて遺憾である。

2009年11月18日01時02分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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