HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58611 Content-Type: text/html ETag: "15ede6-1600-f51c9440" Expires: Mon, 16 Nov 2009 23:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Mon, 16 Nov 2009 23:21:10 GMT Connection: close APEC 危機後の成長戦略をどう描く : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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APEC 危機後の成長戦略をどう描く(11月16日付・読売社説)

 金融危機後の持続的な成長を目指し、環太平洋の国と地域が結束の強化を打ち出した。

 日米中など21か国・地域が参加し、シンガポールで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議は、首脳宣言と、経済成長に関する特別声明を採択して閉幕した。

 日本がAPEC議長国となる来年中に、「域内の長期的な成長戦略を策定する」と明記したことが最大のポイントだ。景気刺激策を継続する方針も強調した。

 APECは世界の国内総生産(GDP)の5割を占める巨大な経済圏である。成長センターであるAPECが先導し、金融危機は最悪期をようやく脱した。

 しかし、景気回復の先行きは、まだ不透明だ。危機克服後も、連携を強化し、世界経済を牽引(けんいん)するエンジン役となる決意を示したといえよう。

 新成長戦略は、地球温暖化対策と調和した持続的な成長や、均衡が取れた成長を目指すものだ。

 アジア各国は、過剰消費の米国向けの輸出に過度に依存し、危機を深刻化させた。経済格差も広がった。その教訓が背景にある。

 鳩山首相は、地球温暖化対策を域内の成長戦略に取り込む考えを強調した。会議では、「京都議定書」に続く温暖化対策の枠組みについて、政治合意を目指す重要性でも一致した。

 二酸化炭素(CO2)の2大排出国の米中両国がメンバーであるAPECとして、どんな成長戦略をまとめるのか。議長国・日本の指導力が厳しく問われよう。

 一方、首脳宣言は、保護主義の阻止を強調するとともに、APECをカバーするアジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)の具体案の策定を進めると明記した。

 アジア重視を明確にしたオバマ米大統領の姿勢を反映し、一歩踏み出した形である。

 この地域では、鳩山首相が東アジア共同体構想を掲げるなど、様々な経済連携案が交錯する。何より重要なのは、米国を含めた「開かれた地域協力」を推進することだ。広大な自由貿易圏構想実現への道筋を探る必要がある。

 そのためにはまず、APECが合意した貿易・投資の自由化を着実に進めなければならない。域内の先進国の目標年とした来年までに、一定の成果が求められる。

 難航している世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の来年中の決着に向け、APECが主導的な役割を果たすことも大事だ。

2009年11月16日00時57分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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