
HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 61057 Content-Type: text/html ETag: "21abec-1d29-67882d00" Expires: Tue, 17 Nov 2009 02:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 17 Nov 2009 02:21:05 GMT Connection: close
![]() 鳩山経済政策 マニフェスト不況を起こすな(11月17日付・読売社説)公約を守ろうと躍起になって、景気を悪化させることにでもなれば、本末転倒である。 日本経済はようやくプラス成長を回復したが、前政権の景気対策と外需回復で一時的に浮揚したと見るべきだ。物価下落が経済停滞を招くデフレも深刻になっている。 ところが、鳩山内閣は今年度の補正予算を約3兆円凍結し、来年度予算も、景気刺激に即効性が期待される公共事業などをカットするという。 ◆成長戦略欠くバラマキ◆ 政権公約に盛り込んだ目玉政策の財源を得るためだが、こうした姿勢では、地方経済などの冷え込みを加速させる「マニフェスト不況」に陥らないか心配だ。 政策選択の原則を公約優先から景気優先に切り替え、政策を抜本的に見直すべきだ。 最大の問題は、鳩山内閣が日本経済の本格回復に向けた成長戦略を持たぬまま、選挙公約したバラマキ型の政策を強行しようとしている点にある。 昨年からの景気の急激な悪化で税収は大きな落ち込みが避けられない。政府は、乏しい財源を効果的に使って景気を立て直すと同時に、財政の急速な悪化に歯止めもかけるという難しい政策運営が求められている。 ところが、来年度当初予算の概算要求には、政権公約に盛り込んだ大型の政策がほぼそのままの規模で並んだ。 子ども手当2・3兆円、高速道路無料化0・6兆円、公立高校無償化0・5兆円などだ。これにガソリン税の暫定税率廃止(2・5兆円)を含めれば、7兆円に迫る巨額の財源が必要となる。 これらの目玉政策の実施に執着するのなら、予算規模を適正な水準に抑えるのは不可能だろう。鳩山首相は来年度の国債発行額を今年度の44兆円以下にするとしているが、大幅な増発は避けられないのではないか。 財政危機が深刻化すれば国債価格が急落して、長期金利が跳ね上がる。それが景気にかえって悪影響を及ぼし、利払い費の増加で財政がさらに悪化する。そうした事態を避けるためにも、不要不急の公約にこだわるべきでない。 日銀が国債買い入れを増やして金利上昇を防ぐなど、政府・日銀の政策協調も強めてほしい。 むろん、景気回復後に消費税を引き上げて安定財源を確保するなど、財政再建に向けた決意を今から示すことが、財政に対する市場の信頼回復に欠かせない。 ◆高成長も持続性に疑問◆ 今、最優先の政策課題は、景気の本格的な回復である。 内閣府が16日に発表した7〜9月期の国内総生産(GDP)は、前期比1・2%増と2四半期連続でプラス成長となった。個人消費と輸出が伸び、設備投資もようやくプラスに転じた。 悪化は一段落した形だが、成長が持続して本格的な成長軌道に入ったとみるのは早計だ。 まず、回復は景気対策の効果が中心で、広がりを欠いている。個人消費は、エコカー補助や家電のエコポイントなどで自動車や薄型テレビの販売が好調だったが、他の商品はさえない。 冬のボーナスは大幅減が確実で、雇用情勢の悪化で消費が再び落ち込む危険がある。 今回の大幅なプラス成長に、ぴんとこない人も多いだろう。家計や企業の実感に近い名目のGDPが、物価下落でマイナスに沈んでいるためだ。デフレが家計や企業の心理を冷やしている。来年前半に成長が鈍り、場合によってはマイナス成長に落ち込むとの見方も少なくない。 ◆「公約」より「景気」を◆ こうした中、気がかりなのは、昨年からの景気悪化で下支え役だった公共投資が、7〜9月期に5四半期ぶりに前期比マイナスに転じたことだ。 景気の影響を受けやすい業種の人に実感を聞く10月の景気ウオッチャー調査で、地方の建設業者から「公共工事が激減している」との声が寄せられた。 鳩山政権は、「コンクリートから人へ」の方針で、公共事業を削り、福祉など国民への直接給付に政策の重点を移している。確かに箱もの行政や公共事業頼みの地域振興は見直さねばならない。 だが、不況で疲弊した地方経済への配慮を欠けば、致命的な痛撃を与えかねない。 雇用情勢が厳しい中、所得制限もないまま子ども手当をばらまいても、消費より貯蓄に回るとの指摘がある。財源が他の予算の削減なら、政策効果は相殺される。 2兆円以上を子ども手当に費やすより、GDP統計で一定の効果が見られたエコカー補助などを延長する方が、少ない予算で効率的に消費刺激できるのではないか。これに限らず、公約した内需振興策は効果の検証が必要だ。 マニフェストに固執して、経済効果の薄い事業に多額の予算を浪費してはならない。 (2009年11月17日01時21分 読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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