HTTP/1.0 200 OK Age: 257 Accept-Ranges: bytes Date: Mon, 16 Nov 2009 23:17:10 GMT Content-Length: 7645 Content-Type: text/html Connection: keep-alive Proxy-Connection: keep-alive Server: Zeus/4.2 Last-Modified: Mon, 16 Nov 2009 14:34:54 GMT NIKKEI NET(日経ネット):社説・春秋−日本経済新聞の社説、1面コラムの春秋

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NIKKEI NET

春秋(11/17)

 用を足すつもりで、うっかり外に出たのが運のつき。必死に弁明しても、二度と部屋に入れてもらえなかった。午前8時30分に迫る秒針を見て、冷や汗が噴き出た。ワシントンで経済指標の速報記事の送信に失敗した苦い思い出がある。

▼GDPや失業率などの数字は、発表と同時にニュースが流れる。その仕組みのタネ明かしをすると、記者は解禁時刻より前に資料を渡されて、記事を書く時間を与えられる。ただし部屋に缶詰めになり、携帯やメールは一切禁止。トイレで遅刻や中座などは即刻アウトだ。情報管理の厳しさは洋の東西を問わない。

▼30分以上も前にGDPの数値を口外した直嶋正行経産相は、その重みをどう考えていたのか。直後に情報漏洩(ろうえい)を指摘されても、あまり悪びれた様子はなかった。金融市場では、たった1秒の時間差に天文学的な額の投資マネーが滑り込む。経済閣僚が「知らなかった。失礼しました」と笑って済ませる話ではない。

▼事務方の仕事だった統計の説明も、政権交代で政務官が担当するようになった役所もある。政治家が官僚より口が軽いとは限らないが、経産相の言動を見て、市場は政権の情報の扱いに疑心暗鬼の目を向けるかもしれない。GDPが予想以上の伸びとなったのは結構だが、日本という国の信用がほころぶのは困る。

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