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韓国釜山火災 手軽な射撃観光が招いた惨事(11月16日付・読売社説)

 誰でも実弾を撃てる店が繁華街の雑居ビルで営業している、というだけでも驚く。しかも、その射撃場で火災が起こり、巻き込まれた人の大半が日本人観光客とは――。

 韓国南部の釜山市にある「ガナダラ実弾射撃場」で14日、爆発音とともに火災が発生し、10人が死亡、6人が負傷した。

 韓国当局の発表では、犠牲者のうち8人が日本人男性という。中学時代の同窓生グループなど、ごく普通の観光客である。

 なぜ、このような惨事が起きたのだろうか。

 現場の実弾射撃場は、釜山市の国際市場と呼ばれる観光エリアの中で、土産物店なども入居する5階建てビルの2階にあった。

 出火原因は調査中だが、激しい炎と煙で店内の人は逃げる時間がなかったようだ。発射弾や音を封じ込めるために密閉度の高い店内構造であったことが、多数の死傷者を出した一因と推測される。

 韓国でも一般人の拳銃所持は禁じられているが、許可を得れば、何種類もの拳銃を使って実弾を撃てる射撃場の営業が可能という。同様の射撃場は釜山市だけで4か所あり、首都ソウルの中心部にも存在する。

 徴兵制の韓国では男性のほとんどが軍で射撃訓練を受けており、料金を払って射撃を体験しようとする人は少ないだろう。

 つまり想定する客の大半は外国人であり、事実上、隣国で銃規制が厳しい日本の観光客向けだったようだ。火災のあった射撃場も日本語の看板が掲げられていた。

 無論、営業射撃場を認めるかどうかは韓国の問題である。

 だが、当局による射撃場の安全点検は、銃の管理や防音対策に力点が置かれ、火災を想定した規制は甘いとの指摘もあるようだ。現に、2006年にもソウルの射撃場で火災が起き、日本人3人が負傷している。

 韓国当局には、防火体制を見直して再発防止を図るとともに、射撃場の許可基準についても問題がないか検討してもらいたい。

 韓国だけでなく、フィリピンや米国などの射撃場も日本人客が多いという。日本でできないことを体験するのが海外旅行の楽しみであることは確かだろう。

 しかし、実弾射撃場には火災のみならず、誤射や暴発などが起きる可能性もある。安易に観光の一つと考えるのは危うい。

 外務省や旅行業界は危険性を警告し、自粛を呼びかけることも検討すべきではないか。

2009年11月16日00時56分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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