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春秋(11/14)

 オバマ米大統領が駆け足でやってきた。日米首脳会談の注目点は、沖縄・普天間基地の移設問題だった。日本国内でただ1県だけ先の大戦で地上戦を経験した沖縄。悲惨な体験は、平和への思いを強め、米軍基地を拒む心情につながる。

▼沖縄出身でカナダに住む宮平貴子さんの監督作品「アンを探して」が東京で上映中だ。カナダ東部のプリンスエドワード島の美しい風景のなかで戦争と平和をしみじみと考えさせる。日本人少女が祖母の初恋の人だった元カナダ人兵士を探す物語だ。島を舞台にしたモンゴメリの小説「赤毛のアン」が底流にある。

▼探し当てたと思った元兵士は、日本国内の捕虜収容所で仲間が亡くなっていった記憶を語る。少女に「君を責めているのではない。事実を知ってほしいだけだ」と話す。見終わって、号泣ではないが、感涙を誘う。ゆったりとした映像がいかにもカナダらしい。平和もまた声高ではなく、静かに語る方が胸に迫る。

▼ことしは日加修好80周年。「アンを探して」もそれにちなんだ日加共同作品だ。イラク戦争に反対したカナダは、アフガニスタンには軍を派遣、130人を超える戦死者を出しながら、耐える。日本にはインド洋での海上自衛隊による給油の継続を強く求める。平和を静かに語る国カナダ。その外交に何を学ぶか。

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