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日米首脳会談 同盟深化へ「普天間」の決着急げ(11月14日付・読売社説)

 鳩山首相は、来日したオバマ米大統領との会談で、来年の日米安保条約改定50周年に向けて、同盟関係を重層的に深化させるための政府間協議を開始することで合意した。

 同盟を深化させるという以上、米海兵隊普天間飛行場の移設問題は避けて通れない。政府は、いたずらに問題を先送りせず、今年中に現行計画の推進を決断し、決着させるべきだ。

 ◇戦略協議を深めよ◇

 安保条約の根幹は、米国が日本防衛の義務を負う代わりに、日本が米軍の国内駐留を認めるという相互依存の関係にある。

 日本は米ソ対立の時代、西側の一員として行動し、冷戦終結後は日米同盟を活用しつつ、世界とアジアの平和に貢献することを目指した。この間の日本の経済発展は同盟関係による幅広い日米協力にあずかるところが大きい。

 今後も、従来と同様、日米同盟の強化が日本の国益にかなう道と言えよう。

 両首脳は、地球温暖化対策や核軍縮問題で合意文書を発表した。2050年までに日米両国が温室効果ガスの排出量を80%削減する目標を掲げた。「核のない世界」の実現に向けて日米が連携することも盛り込まれた。

 環境や核不拡散など地球規模の課題は今、日米の足並みが最もそろっている分野だ。具体的な成果につなげたい。

 今回の首脳合意を、言葉だけに終わらせてはなるまい。今後、様々な分野で日米協力を重ねる努力が欠かせない。

 世界の安定と繁栄を持続するため、日米がどう連携し、いかに行動するのか。両国が真剣にアイデアを出し合い、戦略的な協議を深めることも重要になる。

 オバマ大統領は、来秋に横浜で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するため再来日する見通しだ。戦略協議の成果を、1996年の日米安保共同宣言に次ぐ新共同宣言としてまとめる好機となろう。

 ◇新安保共同宣言を◇

 今回の首脳会談では、大統領来日を失敗させるわけにいかないとの日米共通の判断から、協調関係を演出した。しかし、現在の日米関係にきしみが生じているのは否定しようのない事実だ。

 その最大の要因は、鳩山首相が普天間飛行場の移設問題を先送りし続けていることにある。

 日米両政府は、この問題を集中的に協議する閣僚級の作業部会を設置することで合意した。だが、作業部会を、問題のさらなる先送りの口実にしてはならない。

 首脳会談では、来週にも始まる作業部会で早期に結論を出すことで一致した。鳩山首相も記者会見で、「時間がたてば、より解決が難しくなることを理解している」と表明した。

 実際、問題が年内に決着しなければ、普天間飛行場を沖縄県名護市に移設する現行計画は頓挫するとの見方が強い。年末に編成する来年度予算案に移設費が計上されない場合、日米とも現行計画を実行する機運が失われよう。

 米議会が海兵隊8000人のグアム移転の予算を大幅に削減する恐れも強まる。

 沖縄でも、普天間飛行場の県外移設を求める声が徐々に広がり始めている。鳩山首相が、「沖縄県民の総意が大事だ」などとして、何の具体案もない県外移設に含みを持たせてきたためだ。

 来年1月には名護市長選が予定されている。仮に現行計画を容認する現職が敗れれば、移設問題は暗礁に乗り上げかねない。

 一市長選の結果が、国全体の安全保障に重大な影響を与える事態は避ける必要がある。

 鳩山首相は、オバマ大統領との合意を尊重し、国の責任として、この問題について早急に政治決断を下すべきだ。

 在日米軍再編の目的は「米軍の抑止力の維持」と「地元負担の軽減」の両立だった。鳩山政権はこの原点に戻り、後者に偏重した政策を見直すことが求められる。

 ◇米軍の抑止力は重要だ◇

 北朝鮮の核ミサイル開発や、中国の急激な軍事大国化、国際テロの脅威など、日本の安全保障環境はかつてなく厳しい。在日米軍の存在が様々な非常事態に対する強力な抑止力となっている現実を直視することが大切だ。

 北朝鮮が弾道ミサイルの発射準備をしている。部隊に不穏な動きがある――。例えば、こうした機密情報が米国から日本に迅速に提供されるのは、単に安保条約が結ばれているからではない。

 長年にわたる日米の防衛協力や自衛隊の国際平和協力活動の拡大など、双方の努力の積み重ねに基づく信頼関係があるからだ。

 鳩山首相は、日米同盟の意義を改めて熟慮したうえ、普天間問題の解決に取り組んでほしい。

2009年11月14日01時11分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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