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11月14日付 編集手帳

 丸谷才一さんは昔、愛読者から気の進まぬ頼み事をされた。対応に迷い、高校の先輩でもある文芸春秋の大編集者、池島信平氏に相談した時のことをエッセーで回想している◆その答えが味わい深い。〈人生つてものは、敵が千人で味方が千人なんです。敵の千人がへることはぜつたいない。とすれば、味方の千人がへらないやうにするしかないんですよ。よほど(いや)ならともかく、がまんできることだつたら、ウンと言ふんですな〉(「絵具屋の女房」)◆池島語録の「敵」を「脅威」に置き換えれば、味方千人を減らさないことは人生のみならず、外交の要諦(ようてい)でもあろう。日本にとって安全保障上の味方が誰であるかは子供でも知っている◆日米首脳は昨夜の会談で、同盟関係を深めていくことを確認したが、これはオバマ大統領の来日成功を演出する、いわば美しい包装紙といえなくもない。「普天間」で煮え切らない日本と、不信を募らせる米国と――包装紙に耳をあてれば、日米同盟の(きし)みが聞こえるはずである◆鳩山政権の発足以来、味方千人はどのくらいまで減っただろう。包装紙の内側が気に掛かる。

2009年11月14日01時13分  読売新聞)
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