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社説2 温暖化交渉を失速させるな(11/14)

 デンマークのコペンハーゲンで12月に開く国連気候変動枠組み条約締約国会議では、京都議定書に代わる議定書の採択が難しいとされる。

 温暖化対策は、石油や石炭を大量消費する産業革命以来の文明のあり方の転換を伴う。交渉は、もとより容易ではない。地球温暖化防止を目指した国際的な努力をここで失速させてはいけない。

 新議定書の採択が難しい最大の要因は米国だ。国内の温暖化対策法案の成立の遅れから、法的な裏付けのある削減目標を約束できない。

 温暖化ガスの削減目標を入れた新議定書を決められない場合は、来年の早い時期に改めて会議を開き、決着させる必要がある。少なくともコペンハーゲンでは、米国や中国を含め、すべての国がそれを約束すべきだ。

 日本政府は、米国と途上国からも歩み寄りを引き出すよう、働きかけを強めなくてはならない。

 途上国の温暖化対策の後押しも日本政府の使命だ。資金・技術の国際支援も急務であり、そのための仕組みが要る。

 今月上旬に開いた各国事務当局者による作業部会で、日本が提案した支援策は各国の失望をかった。既存の制度を足し合わせた内容で、新たに提供する資金の規模も示さなかった。「鳩山イニシアチブ(提案)」の名に値しない。

 新議定書ができない場合を想定し、京都議定書の枠組みはそのままに、先進国の削減目標だけを新たな数値に書き換えて運用し続ける考え方も出ている。

 京都議定書の体制では、世界の二酸化炭素(CO2)の4割を排出する米中が削減義務を負わない。温暖化防止に両国の参加は不可欠だ。京都議定書の単純な延長は、世界のだれのためにもならない。

 鳩山政権は、国際交渉の行方にかかわらず、国内の温暖化対策の拡充を着実に進めてほしい。

 エネルギー安全保障の観点からも、化石燃料への依存脱却を目指す世界の動きは止まらない。環境技術が明日の産業の競争力の決め手になる。日本が、低炭素化で揺るぎない姿勢を示すことは、国際交渉を前進させる駆動力にもなりうる。

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