HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59398 Content-Type: text/html ETag: "391bd2-15d1-984f3880" Expires: Fri, 13 Nov 2009 00:21:05 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Fri, 13 Nov 2009 00:21:05 GMT Connection: close 事業仕分け 狙いは分かるが手法が問題だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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事業仕分け 狙いは分かるが手法が問題だ(11月13日付・読売社説)

 政府の行政刷新会議が事業仕分けを開始し、来年度予算の概算要求から無駄を洗い出す作業を本格化させている。

 国会議員と民間有識者らによる「仕分け人」が、予算を要求した各府省の担当者らと議論し、その事業が必要か否か、地方に移管すべきか、などの判断をその場で出していく。

 長年にわたって硬直化した予算配分に、メリハリをつけようとする意図は理解できる。

 初日と2日目の作業で廃止が決まったのは、農林水産省の農道整備事業などだ。厚生労働省所管の財団法人は、基金311億円の返納を求められた。国土交通省の下水道事業は地方移管とされた。

 こうした判定は、鳩山首相の了承を経て、財務省の予算査定に反映される見通しだ。95兆円と水膨れした概算要求のスリム化につながることが期待されよう。

 だが、事業仕分けの対象である447事業に、在日米軍基地に関する防衛省の「思いやり予算」などが含まれたのは解せない。

 日米安保体制にも影響する政治的な予算である。「まず防衛省が米軍と話をする。いきなり刷新会議が入ってきて削るというのは乱暴」と北沢防衛相が反発するのも当然だろう。簡単な議論で結論を出すような問題ではあるまい。

 義務教育費の国庫負担や、地方交付税など、国の在り方にかかわる大きな案件も、こうした場で取りあげるのは適当ではない。

 むしろ、子ども手当や高速道路の原則無料化など、巨額な費用がかかるのに政策効果が不透明な案件こそ、対象として取りあげるべきであろう。

 公開された事業仕分けで、仕分け人たちが、府省の担当者を一方的にやりこめるような場面が相次いでいるのはいただけない。

 「傍聴者とネット中継を意識したパフォーマンスが過ぎる」との批判が出るのもやむを得まい。

 1案件当たりの割り当てもわずか1時間である。これでは、まともな議論は不可能だ。対象事業数を減らすなどして、時間をもっとかける工夫が欠かせない。

 国の個別予算の当否に、民間人や外国人が直接かかわることを疑問視する声もある。仕分け人としての正式辞令は交付されていないという。事業仕分けの正当性が問われかねない。

 スタートしたばかりの事業仕分けだが、早くも課題が浮き彫りになった。鳩山内閣は、手法と効果を検証しながら、あと7日間の日程を慎重に進める必要がある。

2009年11月13日00時56分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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