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春秋(11/13)

 東京・代々木公園の片隅に、「日本航空發始(はっし)之地」と刻まれた碑が建っている。ライト兄弟が初めて空を飛んでから7年後の1910年。この地で徳川好敏、日野熊蔵という陸軍大尉が、同じ日にそろって、日本での初飛行に成功した。

▼徳川大尉が3000メートルを飛行すると、日野大尉も1000メートルを飛んでみせた。2人は操縦の技を競うライバルだった。徳川大尉はフランスに留学し、主翼が上下2枚の飛行機を買った。日野大尉はドイツで学び、主翼1枚の機体で対抗した。2人の競争がなかったら日本初飛行の実現はもっと遅れたかもしれない。

▼日本の空の歴史をきり開いた2人が存命だったら、日本航空はどう映るだろうか。航空業界は長らく企業を保護する行政が続き、運賃は値下げせずに済み、新たな参入も少なく大手の寡占状態が続いた。日本航空の経営悪化の根っこは政府の過保護のもと、競争を避けてきたことだと2人は喝破するのではないか。

▼2人のうち日野大尉は初飛行後、不遇だった。飛行機の技術の研究に打ち込みすぎて軍のなかでうとまれ、閑職に追いやられた。それでも、初飛行で使った外国製の機体にあきたらず自作機を設計し、航空技術の歴史に名を残した。日本航空も政府の支援を受けるだけでなく、自力で苦境をはね返す気概がほしい。

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