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11月12日付 編集手帳

 ドラマなどで見る警察署の取調室には鏡が掛かっている。目撃証人などが隣室から被疑者の顔を確認する窓でもある。人気推理作家ジェフリー・ディーヴァーの作品中に、鏡に触れたくだりがある◆〈それ(証人のための(のぞ)き窓)が目的ならば、ずっとハイテクな方法がいくらでもある。本当の理由は、人間は自分の姿を見ながら(うそ)をつくことに抵抗を感じるものだからだ〉(文芸春秋「スリーピング・ドール」)◆記述の真偽は不敏にして知らない。千葉県警行徳署の取調室に鏡があるかどうかも承知していないが、洗面の折などは自分の顔に見入るときがあるだろう◆英国人女性の死体を遺棄した容疑で全国に指名手配されていた市橋達也容疑者(30)が逮捕された。整形手術の傷跡がまだ残る顔は、そうまでして逃げねばならない事情があったことを裏づける“証明書”にほかならない。「知らない」「記憶にない」という常套(じょうとう)()が通用しないことは、鏡の中の自分と対面するたびに気づかされるはずである◆面変わりした顔に、どうすべきかを問うてみればよい。包み隠さず、真実を語れ――鏡は答えるだろう。

2009年11月12日01時24分  読売新聞)
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