HTTP/1.1 200 OK Connection: close Date: Wed, 11 Nov 2009 21:16:38 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Age: 0 東京新聞:事業仕分け 『水増し要求』にメスを:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

事業仕分け 『水増し要求』にメスを

2009年11月11日

 二〇一〇年度予算をめぐる行政刷新会議の事業仕分けがスタートする。無駄な事業を削るのは当然だが、そもそも予算の骨格をめぐる議論はどうなったのか。枝葉の削減劇に終わってはいけない。

 議員バッジをつけた国会議員が各省庁の官僚を呼び付けて、公開の席で予算の要不要を判定する。まったく初めての試みだ。

 霞が関の密室で決まっていた予算編成が一部とはいえ、国民監視の中で政治家と官僚が議論を戦わせて税金の使い道を決めるのは意義がある。本来は国会の役割であるはずだが、与野党の審議は形式化し、政府は予算案組み替えに応じてこなかった。ぜひ深い議論をして無駄や非効率に徹底したメスを入れてほしい。

 そう期待したうえで、あえて疑問も投げかけたい。事業仕分けのような個別作業に入る前に、鳩山政権はいったい今回の予算をどんな形にしたいのか。そこがさっぱり見えてこないのだ。

 予算編成と税制改正は目先の景気対策の柱になるだけでなく、中長期の日本経済を展望するうえで最重要の役割を担っている。だからこそ「国家戦略室が予算の骨格をつくる」と言ってきたはずなのに、国家戦略室はあたかも開店休業状態であるかのようだ。

 鳩山首相自ら認めるように、景気は二番底に陥る懸念もある。戦略がはっきりしないまま個別の事業仕分けに取り組んでも、それで日本経済をどうするのか、多くの国民は方向感をつかめない。厳しい景況の下、財政政策が担う役割と中長期的な日本経済の姿をもっと積極的に語るべきだ。

 四百四十七事業が仕分け対象になったが、三千といわれる全事業からみれば一割強にすぎない。膨大な量の中から短時間に選んだだけに、実質的には財務省や各省庁の事前調整任せになった面もありそうだ。残った事業にも目配りが不可欠である。

 一方で「目標削減額は三兆円」といった数字が早くも飛び交っている。三兆円という数字にどんな根拠があるのか不明だが、これではハードルが低すぎる。

 本年度歳出総額が八八・五兆円だったことを考えれば、社会保障費の自然増一兆円を加えても来年度は九十兆円程度に収まらなければ、予算組み替えで子ども手当などの歳出増を捻出(ねんしゅつ)したとはいえない。九十五兆円の概算要求が過大なのだ。官僚の水膨れ要求を政治家がどこまで削れるか、最初の試金石である。

 

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