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社説2 やはり「小切手外交」の愚(11/12)

 行政刷新会議の事業仕分け人たちに任せたら、どう裁くだろう。

 これまでの事業は費用が年間100億円以下だが、国際的な評価も得ている。これに替わって始める事業には年間900億円を注ぐ。使い切れるかわからないから、とにかくばらまかねばならない――。

 政府は新たなアフガニスタン支援策として、2009年から約5年間で最大50億ドルを拠出する。反政府武装勢力タリバンの元兵士への職業訓練実施やインフラ整備など民生分野が中心となる。鳩山由紀夫首相がオバマ米大統領に伝える。

 岡田克也外相がインド洋での海上自衛隊による給油中断を表明した際、私たちは「やはり『小切手外交』を繰り返すのか」と疑問を投げた。給油中止の事実上の代替措置となる民生支援は、小切手外交そのものである。日本は再び「汗をかくかわりにカネを配る国」になるのか。

 日本は02年に20億ドルの支援を約束した。治安が悪いなかを援助関係者が駆け回って調整を進め、8年間に約18億ドルを消化した。これに比べ、5年間50億ドルは、援助関係者によれば「途方もない数字」である。

 治安の悪さを考えれば、消化できない可能性もある。その場合には、国連機関や非政府組織(NGO)にカネを渡して使ってもらう「丸投げ援助」になる。アフガニスタン情勢の改善につながるのであれば、意味がないわけではないが、日本の納税者はどう思うだろう。

 行政刷新会議が予算圧縮を議論している時である。1年10億ドル(約900億円)は小さな額ではない。決定過程を見ると、事業内容を固めて数字が積み上がったのではなく、初めに数字ありきにみえる。

 一方の給油は100億円もかからない。野党時代の民主党は、この活動を「憲法違反」と断じたが、マニフェスト(政権公約)では触れず、活動はいまも続く。鳩山首相らは「単純延長はしない」と含みを残すが、具体論には踏み込まない。

 50億ドルの民生支援は、きちんと使われれば意味があるが、それに比べ給油は費用対効果の点ではるかに意味があるだけでなく、欧米諸国からも感謝されている。給油継続に向けた具体的議論を急ぐ必要がある。

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