HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 59107 Content-Type: text/html ETag: "ff6c0-1618-8e194400" Expires: Tue, 10 Nov 2009 22:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 10 Nov 2009 22:21:10 GMT Connection: close 分権委最終勧告 改革の工程表と全体像を示せ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



現在位置は
です

本文です

分権委最終勧告 改革の工程表と全体像を示せ(11月11日付・読売社説)

 4次にわたる政府の地方分権改革推進委員会の勧告が出そろった。政府は、勧告の尊重にとどまらず、より大胆な改革を目指してほしい。

 分権委の勧告は多岐に及ぶ。国から地方への権限移譲、国の出先機関の統廃合、国が法令で自治体を縛る「義務付け・枠付け」の見直しなどだ。

 このうち保育所や老人施設の設置基準の緩和など義務付け・枠付けの見直しは、実現に向けて関係府省との調整が始まっている。

 地方が要望する40本の法律の104条項のうち、4分の1強の28条項の見直しは各府省が同意した。34条項は一部の見直しにとどまり42条項は拒否されている。

 自民党政権では、各府省が族議員とも連携し、大半の勧告にゼロ回答を続けた。今回、回答が多少前向きになったのは、政権交代の効用とみられるが、官僚の抵抗は依然として根強い。

 政府は、年末に地方分権改革推進計画を決定し、来年の通常国会に関連法案を提出する。

 「地域主権国家」を標榜(ひょうぼう)する鳩山内閣の重要な試金石だ。鳩山首相や、地域主権推進担当の原口総務相が指導力を発揮し、見直し条項をさらに積み増しすべきだ。

 最低居室面積や職員配置など、保育所の設置基準の緩和に関しては、関係団体から「保育の質が低下する」との反対論がある。

 だが、都市部の自治体は既に、国の補助金を受けずに独自の保育所認可基準を設けている。多くの待機児童がいる切実な現状を踏まえた措置だ。深刻な保育所不足などを考えれば、基準緩和は時代の要請とも言えるだろう。

 義務付けの見直しは、自治体の意識改革も促すはずだ。

 自治体は従来、国が判断した基準に従う、という受け身の姿勢で良かった。今後は、自ら判断し、基準を制定する責任を負う。新たな権限をきちんと行使する覚悟と能力が求められよう。

 地方分権改革では、多くの課題を同時並行で進める必要がある。政府は月内にも、地方分権委に代えて、閣僚や地方代表、有識者による新組織を設置する予定だ。

 分権委は第2次勧告で、国土交通省地方整備局など8府省の出先機関の統廃合を提言した。ただ、統廃合と同時に地方に移管する事務や権限が明確でなく、看板の掛け替えに終わる懸念がある。

 政府は、分権改革の進め方を議論、整理したうえ、新たな工程表を作成し、その全体像を国民に提示する必要があろう。

2009年11月11日01時10分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
現在位置は
です