HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 10 Nov 2009 02:17:39 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:多くの人の命を奪い、傷つけた人間は、どう罪と向き合うのか。…:社説・コラム(TOKYO Web)
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【コラム】

筆洗

2009年11月10日

 多くの人の命を奪い、傷つけた人間は、どう罪と向き合うのか。地下鉄サリン事件の実行犯として最高裁で死刑が確定する二人のオウム真理教元幹部の姿に、いつも考えさせられる▼広瀬健一被告(45)は自ら体験した教団の武装化の歴史を法廷で詳述。豊田亨被告(41)は多くを語ることは言い訳になると信じて沈黙を続けた。早大、東大の大学院で超電導、素粒子をそれぞれ研究した科学者の卵。深い悔恨は被害者や遺族に届いたのだろうか▼東京・秋葉原で昨年六月に起きた無差別殺傷事件の加藤智大被告(27)が、重傷を負った男性に謝罪の手紙を送っていたことが分かった。「万死に値する」と極刑を覚悟した内容だった▼死刑だからと開き直らず、すべてを説明することが自分の責任であり、義務だという考えも丁寧な文字で書かれていた。「やっと被告の顔が見えた気がする」。受け取った男性の感想だ▼謝罪など受け入れられないという遺族が多いかもしれない。ただ、同じような事件を繰り返さないために、法廷で真実を話したいという彼の気持ちは伝わってきた▼初公判の日程は決まっていないが、「唯一の居場所」と本人が認めるインターネットの掲示板の問題や、「格差社会」の中の絶望感など、事件の背景まで踏み込んだ審理を期待したい。裁判を被告を死刑にする「儀式」で終わらせないためにも。

 

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