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社説2 天下り禁止の理念がかすむ(11/8)

 民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げた「天下り、渡りのあっせんを全面的に禁止する」という理念がかすんでいる。なし崩し的な方針転換につながらないように、鳩山政権は天下りの禁止について明確な判断基準を示す必要がある。

 鳩山政権は日本郵政の社長に斎藤次郎元大蔵次官を起用したのに続き、谷公士前人事院総裁の後任に江利川毅前厚生労働次官を充てる国会同意人事案を決めた。

 鳩山由紀夫首相は国会審議で、斎藤氏の起用について「斎藤氏は大変有能で世間も認めた方だ。元いた役所に影響力があるから問題だと言ってきた。財務省も調べたが、影響力のない人だ」などと説明した。

 江利川氏に関しても「人事院そのものの存廃の議論が必要なぐらいの人事院改革、公務員制度改革をしないといけない。(官僚制度の)中を知っている人が1人ぐらいいた方が大胆な改革ができる」と述べ、次官OBであっても問題はないとの認識を示した。

 今後、労働基本権問題などの抜本的な制度改革に取り組むためには、行政組織に通じた人事官が必要という首相の説明には一理ある。

 しかし鳩山政権の天下り問題への対応は、ご都合主義と批判されても仕方があるまい。例えば出身省庁への影響力の有無を誰がどのようにして判断するのか。首相は斎藤氏について「退官後に14年間、民間で勤務をした経験がある」とも語ったが、この理屈は江利川氏や日本郵政の副社長に就任した坂篤郎前内閣官房副長官補らには当てはまらない。

 首相らは省庁によるあっせんではなく、内閣や所管大臣の判断で選べば天下りにはならないと主張している。政府は衆院議院運営委員会に、天下りを「府省庁が退職後の職員を企業、団体などに再就職させること」と定義する文書を示し、省庁のあっせんでない再就職を正当化する理論武装をした。

 だが所管大臣らが選べば天下りに該当しないという基準は到底、有権者の理解を得られないだろう。この基準だとOBによるあっせんが抜け穴になる恐れもある、鳩山政権は天下り問題に正面から取り組まなければ、信頼を失うだけである。

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