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春秋(11/8)

 三越の源流で江戸の日本橋に1673年開業した呉服店「越後屋」の商法は斬新だった。創業者の三井高利は、客の家へ注文をとりに行き、商品を届ける慣習を破って店頭販売を始めた。人手をかけず経費を節約、他店より安く売った。

▼あとで代金をもらう掛け売りもやめ、店頭で現金払いとした。掛け売りだと、取りはぐれを見込んで値段は高めになる。現金払いは値段を下げる仕掛けになった。元禄期の少し前のことだ。消費の主役は大名や武士から町人、大衆に移りつつあった。それら経済の新しい担い手を越後屋は顧客に取り込もうとした。

▼ベルリンの壁の崩壊から9日で20年になる。グローバル化が進んで中国やインドの経済が急成長し、最近はベトナムなどの市場も元気がいい。越後屋が、台頭してきた大衆層を開拓して伸びたように、日本企業も新興国の消費者をつかんで成長できるだろうか。三井高利のように競争相手の先を行く工夫がほしい。

▼越後屋はほかの呉服店が1反を単位に売っていたなかで、それより小さい「切り売り」もした。来店客から注文を受けると、分業体制で短時間で仕立てた。大衆層を掘り起こせたのは彼らの要求に応えたからだ。企業も新興国市場の開拓では、低価格を基本にしながらも、消費者のニーズを機敏につかむ力がいる。

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