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社説2 プルサーマルを着実に回そう(11/7)

 原子力発電所でプルトニウムとウランを混ぜて燃やす国内初のプルサーマル発電が九州電力玄海原発で動き出した。エネルギー資源の大半を輸入する日本では、原発の使用済み核燃料を再利用する「核燃料サイクル政策」は避けて通れない。

 中国やインドなど新興国の原発建設ラッシュなどで、中長期的にウラン資源の奪い合いも見込まれる。日本にとって、ウランを有効利用できるプルサーマルの意義は増す。電力業界は2015年度までに全国16〜18基に広げる計画で、それを着実に進める必要がある。

 プルサーマルは使用済み核燃料から取り出したプルトニウムをウランと混ぜ、これを通常の原発で燃やして発電する方式だ。海外では1960年代からフランス、ドイツ、米国などの50基以上で実績がある。

 日本は97年に計画を閣議了解したが、99年に関西電力の燃料データの改ざんが発覚し、02年には東京電力のトラブル隠しも明らかになり、その都度先送りされてきた。

 電力会社の安全にかかわる情報の管理や公開の姿勢が甘く、地元自治体の信頼を裏切ったことが「空白の10年」の大きな原因になった。

 玄海原発に続き、10年度にかけて四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発でもプルサーマル発電が始まる。電力会社は安全性や意義を地元に丁寧に説明するとともに、情報公開を徹底し、過去の延期と同じ過ちを繰り返してはならない。

 計画の遅れにより、日本は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを28トン以上(うち24トンは海外委託分)も持つ。これは原爆を3000発以上作れる量に相当する。政府は余分なプルトニウムを持たないと国際公約しており、それを守るためにもプルサーマルは重要だ。

 米国など使用済み核燃料を地中に直接埋める方式を採る国もある。しかし、日本では処分場の確保が難しい。再処理路線の方が現実的だ。

 プルトニウムを燃やす原子炉の本命とされる高速増殖炉は、原型炉もんじゅが95年のナトリウム漏れ事故から止まったままで、商用炉の実現は50年ごろになる見通しだ。それまでの「つなぎ」として、プルサーマルの役割は大きい。

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