鳩山由紀夫首相が4日の衆院予算委員会で、自らの偽装献金問題をめぐり鳩山家の資産の流用があった事実を認めた。小口献金の虚偽記載の可能性も否定しなかった。首相は「捜査で全容が解明される」と繰り返しているが、説明責任から逃げていては疑惑は深まるばかりだ。
首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の収支報告書には、2005〜08年の4年間に公表分だけで総額2177万円の架空の個人献金が見つかった。名前の記載義務がない年間5万円以下の小口献金にも同様の偽装があったとの見方がある。
自民党の柴山昌彦氏は予算委で「4年間の匿名献金は合計で総額の6割を超える1億3000万円あまり。極めて不自然だ」と追及した。首相は「5万円以下の部分について本当に納めてくださった方がどれくらいおられるか、どの部分が虚偽かは判明していない」と答えた。
実名を記載した5万円超だけでなく小口の献金にも偽装があったとすれば、収支報告書は実態からさらにかけ離れていたことになる。政治資金の公開制度の趣旨を踏みにじる悪質な行為だと言わざるを得ない。
架空に計上された献金の資金源も解明されていない。柴山氏は「報道によれば、04〜08年までの報告書に記載された合計1億7717万円の小口献金の大半が鳩山家の資産管理会社『六幸商会』の管理資金だった」とただした。
首相は「六幸商会は私と家族の資産を管理している。元秘書から『口座からこれだけ貸してください』と言われ、私が署名しているのは事実だ」と認めた。首相は「元秘書を完全に信頼していた」と強調したが、本当だとしても巨額な資金の管理としてはあまりにずさんすぎないか。
収支報告書の大規模な偽装は本当に元秘書の独断だったのか、首相の親族の資金の流用は無いのかなど疑問点は数多い。資金管理団体に1年間に献金できる上限は政治家本人が1000万円、一般個人が150万円と法律で定められており、量的制限に抵触する恐れもある。
首相は当選以来、クリーンな政治の実現を訴え、「秘書が犯した罪は政治家が罰を受けるべきだ」と主張してきた。今回の偽装献金について「全く責任ないと申し上げるつもりはない」と言う以上、捜査まかせの受け身の姿勢は許されない。
自民党は予算委で首相の資金問題に関する集中審議や六幸商会の代表者の参考人招致を求めた。首相が自ら説明責任を果たさないのなら、疑惑解明の1つの手段になりうる。