HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58992 Content-Type: text/html ETag: "3962eb-161d-23c4bd00" Expires: Thu, 05 Nov 2009 01:21:09 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Thu, 05 Nov 2009 01:21:09 GMT Connection: close カルザイ再選 民族融和でテロとの戦いを : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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カルザイ再選 民族融和でテロとの戦いを(11月5日付・読売社説)

 アフガニスタンを再びテロの巣に戻さぬよう、再選されたカルザイ大統領は今後、国内融和を進め、テロ勢力の一掃に注力せねばなるまい。

 アフガン大統領選は、2か月半の迷走の末、現職のカルザイ大統領の再選で決着した。

 今年8月の投票ではカルザイ氏が過半数を制したかに見えたが、審査の結果、票の組織的な捏造(ねつぞう)などが判明し、3分の1近くが無効とされた。

 このため、今月7日に決選投票が設定された。しかし、対抗馬のアブドラ前外相が「公正な選挙は期待できない」と不参加を表明した。これを受け、選挙管理委員会は投票の中止を決め、「カルザイ当選」を宣言した。

 アフガンでは先月末、イスラム原理主義勢力のタリバンが国連の宿泊施設を襲撃し、さらなる選挙妨害を宣言していた。

 多数の犠牲者を出してまで事実上の信任投票を実施する必要はあるまい。中止は妥当な判断だったと言えよう。オバマ米政権も中止を歓迎、カルザイ氏の当選をとりあえず祝福した。

 だが、公正な選挙で正統性ある政権を樹立するという当初の目的は、達成できなかった。

 アフガンで多数の犠牲者を出しながらテロと戦う欧米諸国は、派兵継続に疑問を強める国内世論に対し、アフガン民主化という成果を示す必要があった。それだけに、残念な結果と受け止めているのではないか。

 オバマ大統領が、再選されたカルザイ氏に腐敗追放に努力するよう求めたのも当然だ。

 多数派民族のパシュトゥン人を代表するカルザイ大統領には、まずアブドラ前外相を支援したタジク人勢力との融和を求めたい。

 ただ、民族融和を隠れみのに、かつてタリバンと戦闘を繰り広げた軍閥を政権に引き込めば、さらなる混乱が予想される。閣僚の人選には慎重さが必要だ。

 腐敗政権への支援が泥沼のベトナム戦争につながった経験から、アフガンが「オバマのベトナム」になると危惧(きぐ)する声がある。

 だが、テロとの戦いを決意した以上、欧米諸国はカルザイ政権との協調を放棄するわけにはいくまい。放棄すれば、タリバン支配の再来を招きかねないからだ。

 日本政府はインド洋上での給油に代わるアフガン支援策として、来年度から巨額の民生支援を実施する方向だ。その資金が支援先に確実に届くよう、監視・検証が必要なことは言うまでもない。

2009年11月5日01時30分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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