HTTP/1.1 200 OK Date: Wed, 04 Nov 2009 21:16:50 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:学力テスト 次は出題内容を見直せ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

学力テスト 次は出題内容を見直せ

2009年11月4日

 小学六年と中学三年の全員が対象だった全国学力テストは来春から一部の子供に限られる。妥当な見直しだが、年々を通じた学力の把握という課題は解決されていない。次は出題内容を吟味せよ。

 来年四月の全国学力テストは全学級の40%が対象とされる。二〇〇七年度から続いた全員参加方式は三年で打ち切られる。

 このテストは過度な競争や学校序列化を招くという懸念が導入前から指摘されていた。文部科学省は防止策として市町村別の結果を公表しないよう求めていたが、保護者の意向や情報公開制度の趣旨を踏まえれば、自治体は公表せざるを得ない。

 鳥取県は昨年秋、学力テストの市町村別・学校別成績を〇九年度分以降は開示すると決めた。

 鳥取県教職員組合の調査では、本年度のテストで公立小中学校のうち、少なくとも七校が本番直前に過去の問題を解くなどの「事前対策」を講じていたという。

 懸念が現実の問題となり、サンプル方式への変更は当然だ。さらに対象数を絞れば、過度な競争や序列化の問題は収まるだろう。

 ただ、対象者を限定しても、学力テストが抱える「結果を活用しにくい」問題が残っている。

 過去三回の問題は質、量ともばらばらだった。昨年は問題量が多かったから今年は減らしたという作り方をみると、複数年にわたる設計は行われていないようだ。

 出題内容の難易度や量を科学的に設定しなければ、年々を通じて学力を比べていくのは難しい。学力比較できなければ、年ごとの学力向上対策も効果が薄くなる。

 毎年、同じ問題なら比較可能だが、事前対策の問題が浮上する。ならば、経済協力開発機構が行っている学習到達度調査(PISA)を参考にしてはどうか。

 PISAは世界約六十カ国・地域の十五歳を対象にした国際調査だ。三年ごとに行われ、〇六年調査で日本は六千人が受けた。「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」の各問題を載せた小冊子は十三種類。生徒は同じ問題を解くわけではない。問題作成は四年がかりという。

 出題内容がしっかりと作られれば、学力テスト対象者をさらに減らすことも可能になるだろう。

 来年四月までにPISAレベルの問題を作成する力が文科省にあるかどうか。テストは受ける側とともに出題側も試される。毎年毎年、やりっ放しになるだけのテストなら、しないほうがましだ。

 

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