日米関係がぎくしゃくしている、そうだ。このごろ、そういう表現を政治記事などで折々、目にする▼沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で、以前の合意を早期に実現するよう求める米国が、うんと言わない鳩山政権にいら立っているのは確かだ。自衛隊によるインド洋での給油の延長をしないとの方針ももちろん、関係している▼少し前、この問題を扱った米紙ワシントン・ポスト(電子版)の記事の中である日本問題専門家が語っている。「(これまでは)米国人が『これで話は決着だ』と言い日本人が『Ah soo desu ka』と答え、それでおしまいだった」▼米国にはいつも「あー、そーですか」と頷(うなず)いてくれた「ものわかりのよい日本」の変貌(へんぼう)が衝撃なのだろう。鳩山首相はさらに日米地位協定、在日米軍への「思いやり予算」の見直しも明言しており、米側の一層の姿勢硬化を恐れる声が政府内にもあるようだ▼だが、鳩山さんは日米関係重視、同盟堅持を言明しているのだから外交政策の転換でも何でもない。むしろいつも「あー、そーですか」でないと、すぐぐらつくような関係の頼りなさの方が問題だろう▼安全保障で米国に依存しているのは確かだが、別に、米国の「思いやり」ではなく向こうにも都合があっての同盟だ。タフな交渉もでき、かつ、ぎくしゃくしない関係が、本来のはずである。