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天声人語

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2009年11月5日(木)付

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 国の台所事情がいよいよひどいことになってきた。今年度上半期の税収は前年同期より24%減り、年度見通しも46兆円から30兆円台に修正されるという。火の車にせき立てられて、たばこ増税が浮上している▼販売が急減しては財政的に元も子もないから、たばこ税の引き上げは「小幅で何度も」が常だった。そのせいか、1箱平均600円の欧米に比べ、日本のたばこは半額。禁煙の旗を振る厚労省は「しがらみのない政権なんだから」と大幅アップを狙う▼たばこ包囲網は狭まる一方だ。700度の火が幼児の顔あたりを舞うとあって、歩きたばこの追放が各地に広まった。神奈川県では来春から、不完全ながら飲食店などでの喫煙が規制される▼真綿で絞められるように喫煙率は下がり続け、今春で25%(男性39%、女性12%)。喫煙者が年に80万人減った計算だ。つまり2兆円強のたばこ税は、より少数が、より高額を背負って支えている。日本たばこ産業は「罰金のような課税」とむくれる▼だがどうだろう。紫煙への依存は、ストレス解消とかの前にニコチン中毒という病である。だから値上げは体に良い、という理屈になる。本当に国民の健康を願うなら、財源が枯れるのを覚悟で1箱千円にしたらいい▼税収を案ずるなら、簡単にやめられない弱みに乗じ、取りやすい所からチマチマ取る姿勢はどうか。中毒などに頼らない、大きな構想がほしい。孫子の代を見据え、消費税や法人税、さらには歳出までを含めた財政の解体修理にかかる時だ。一服している暇はない。

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