HTTP/1.0 200 OK Server: Apache Content-Length: 58706 Content-Type: text/html ETag: "21a368-15e9-786cff80" Expires: Tue, 03 Nov 2009 21:21:10 GMT Cache-Control: max-age=0, no-cache Pragma: no-cache Date: Tue, 03 Nov 2009 21:21:10 GMT Connection: close 検察審査会 助言する弁護士の役割は重い : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)



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検察審査会 助言する弁護士の役割は重い(11月4日付・読売社説)

 検察官による不起訴処分が国民の常識から見て妥当かどうかを判断する「検察審査会」が、不起訴に異を唱えるケースが目立っている。

 その機能を強化した改正検察審査会法が5月に施行されて以降、起訴すべきだという議決の対象になったのは10人に上る。

 JR福知山線脱線事故を起こしたJR西日本の元社長3人も含まれており、過去5年間で最多の年間15人を上回るペースだ。

 検察審査会制度は1948年に設けられた。刑事司法に民意を反映させるという点では、裁判員制度の「先輩」と言える。

 選挙人名簿からくじで選ばれた検察審査員11人が、半年間の任期中、月に1、2回ずつ非公開の会議で被害者などから申し立てのあった不起訴事件を審査する。

 検察の判断が妥当なら「不起訴相当」、改めて捜査を尽くして結論を決めるべきであれば「不起訴不当」、起訴すべきなら「起訴相当」の議決を出す。不起訴相当と不起訴不当は6人以上、起訴相当は8人以上の賛成が必要だ。

 これまでは議決に強制力がなかったため、起訴相当や不起訴不当とされても、検察が再捜査して起訴するのは2割程度だった。

 今度は、審査会が同じ事件で起訴すべきだという議決を2回出すと、裁判所の指定した弁護士が検察官に代わって必ず起訴する。

 ただ、2回目の起訴議決には、審査員を補佐する弁護士の助言を受け、検察官の意見も聞かねばならない。慎重を期すためだ。

 殺人事件で不起訴になった元保母が、不起訴不当の議決を受けて再捜査した検察に、再び逮捕、起訴され、20年以上の審理の末に無罪が確定した例もある。「両刃の剣」を使いこなすには、補佐役の弁護士の役割が重要になろう。

 このため、日本弁護士連合会などは弁護士の研修を始めている。審査員の判断を尊重しつつ、証拠の見方や法律の解釈を的確に伝えられるよう研さんしてほしい。

 審査会は、告訴・告発人や犯罪被害者への対応など、検察の組織運営について改善を求める建議・勧告も地検検事正に出せるが、全国で数年に1件だ。

 その充実のため、改正法では建議・勧告を受けた検事正は、改善措置の内容などを審査会に通知する義務が盛り込まれた。

 国民の司法参加が進む時代に、社会の耳目を集めた事件の捜査結果について、検察の説明責任はどうあるべきか。そうした点なども積極的に提言してもらいたい。

2009年11月4日00時51分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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