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11月2日付 よみうり寸評

 霜月到来。「昔は11月に初霜が降りて、畑の黒い土から、肥えた大根が首を出し……とても日本的風景を感じた」と獅子文六が著書「食味歳時記」に書いている◆「大根の食法で天才的なのは、タクワンだろう。創始者、沢庵和尚という人はよほど食物知識の優れた人に違いない。大根という無味な野菜を(ぬか)と塩の簡単な加工であれほど深い味をひき出すというのは大した発見」ともある◆同感だ。若いころは、さほどでもなかったが、年とともに味わい深いと思って、日々の食事に欠かせなくなった◆ふろふき大根、ブリ大根、千六本のみそ汁もいい。文六氏が20代からふろふきの味を覚えたのは、酒をたしなんだせいという◆別の「たべもの歳時記」でも、楠本憲吉が11月の項の最初に大根をあげている。芭蕉には「菊の後大根の外更になし」の句がある。俳聖も好んで食したらしい◆「大根が太くなって、晩秋」と文六先生。北海道からは積雪の便り。先週、裏磐梯で見た紅葉もまぶたに浮かべ、深まり行く秋を思う。

2009年11月2日14時09分  読売新聞)
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