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11月4日付 編集手帳

 〈古典を学ぶべし。古典とは古きものにあらず。時を越えゆくものの姿なり〉。俳誌「古志」は巻末に「俳句の五か条」を掲げている。主宰者は本紙「四季」欄の俳人、長谷川櫂さんで、長谷川さんの信条でもあるのだろう◆その一条を読んで二つ、三つ、「そういえば」と思い浮かべた文章、詩句がある。蕪村の句〈(おい)が恋わすれんとすればしぐれかな〉は二百数十年も昔の人が詠んだとは思えず、作者名を隠せば平成の作品で通るだろう◆平家物語で二位の尼(平清盛の妻)が8歳の安徳天皇を抱いて入水するときの言葉、〈(なみ)の下にも都のさふらふぞ〉は、いまも読む人の涙を誘ってやまず、源氏物語で光源氏が老いを語る言葉、〈さかさまに行かぬ年月よ〉には誰もが深くうなずく◆何百年も前の作者と、あるいは作中人物と、時を超えて会話できることが古典に触れる喜びに違いない。「文化の日」を挟んでの読書週間も後半に入った◆古典に向かうには時間と根気が要り、「いますぐは、ちょっと…」という人もあろう。年末年始の休みに読む本をもとめて書店を散策し、読書の冬支度をするのも楽しい。

2009年11月4日01時17分  読売新聞)
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