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春秋(11/3)

 家計に占める光熱費といえばふつうは水道、ガス、電気を指す。蛇口をひねると水が出る。コンロをガス栓につないで鍋を囲む。電源コードを壁に差し込めば、掃除機が動き出す。似たような仕組みの3つだが、電気だけ違う点がある。

▼見慣れたコンセントを眺めてみる。わが家では平行な線状の穴が2つ。水道やガスの穴は1つしかない。2つあるならば入り口と出口であろう。電気は、家の中に一方的に流れ込んで終わるわけではない。仕事をした後に壁の向こうに帰っていく。鉄塔の送電線や家の中の配線は、巨大な「回路」を構成している。

▼東京の街に初めて白熱灯がともったのは、明治20年の11月。茅場町に第1号の発電所の記念碑がある。東京電力の前身にあたる東京電灯が、日本橋の周辺の契約者に電力を供給した。点灯した電球は、全部で138個だったそうだ。当時の発電機は力が弱く、東京の全域を覆うような独占的な回路は築けなかった。

▼家庭の太陽光発電の電力を、電力会社が買い取る新制度が始まった。受け取るだけでなく、グルグル回るのが本来の電気の性質。ならば、家庭から逆に回路に流し込むのは、理屈に合った発想だろう。巨大化した現代の送電網の使い道は、ほかにもあるかもしれない。無愛想なコンセントの顔が違って見えてくる。

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