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11月3日付 編集手帳

 村を出ては戻り、ふるさとに愛憎を抱く中年女性みどり(林美智子)が、幼なじみの五郎(田中邦衛)と酒を飲み、つぶやく。「中島みゆきって、いくつなンだろ」◆テレビドラマ「北の国から」(脚本・倉本聰)第16話のひとこまである。「何ともたまンない歌なンだよね」と、中島さんの「異国」を口ずさむ。〈忘れたふりを装いながらも/靴をぬぐ場所があけてある ふるさと〉。こういう人生の陰翳(いんえい)を歌にできる人は何歳なのだろう、と◆ドラマの放送は28年前、歌が作られたのはさらに前、中島さんは二十代である。ひとの何倍も生きてきたような、ありとあらゆる心の傷を経験したような、当代の“歌姫”には不思議な趣がある◆中島さんが紫綬褒章に選ばれた。驚きはボタ餅以上、棚から本マグロでございます――と、喜びのコメントにある。「わかれうた」「時代」「悪女」「地上の星」…記事を読みつつ、唇によみがえらせたメロディーは人さまざまであったに違いない◆本マグロを栄養にして、みどりのセリフではないが、胸のうずく「何ともたまンない歌…」を、また聴かせてくれるだろう。

2009年11月3日01時35分  読売新聞)
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