HTTP/1.1 200 OK Date: Tue, 03 Nov 2009 02:17:47 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:米国経済 金融不安が再燃した:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

米国経済 金融不安が再燃した

2009年11月3日

 米商業金融大手CITグループが連邦破産法第一一条(日本の民事再生法に相当)を申請し、経営破綻(はたん)した。金融危機には一服感も出ていたが、不透明感が消えていない。景気の二番底も心配だ。

 破綻したCITグループの負債総額は六百四十九億ドル(約五兆八千億円)にのぼる。自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に次いで史上五番目の大型破綻だ。融資していた中小企業は百万社にのぼるとされ、実体経済に与える打撃も少なくない。

 米政府は同社に二十三億三千万ドル(約二千百億円)の公的資金を注入しており、大半が回収不能になって今回の危機で初めて国民負担が発生する見通しだ。

 昨年秋の証券大手リーマン・ブラザーズ破綻から火が付いた金融危機は各国の巨額財政出動もあって、峠は越えたかのような観測が広がっていた。七〜九月期の米国実質成長率は3・5%と五・四半期ぶりのプラス成長に戻った。

 だが今回の経営破綻は、むしろ問題が当初の住宅ローン市場から中小企業分野にも広がっている実態を示している。先に開かれた米上院銀行委員会小委員会公聴会では、米連邦準備制度理事会(FRB)や金融監督当局高官が商業用不動産向け融資の焦げ付きに強い懸念を表明した。

 商業用不動産の典型である地方都市のショッピングモールは個人消費の低迷を受けて、閉鎖する店が相次いでいる。モールの経営難が、そのまま融資した金融機関の経営を直撃している形だ。

 中小金融機関の倒産は今年に入って、すでに百件を超えた。これは、貯蓄貸付組合(S&L)の倒産が相次いだ一九八〇年代の「S&L危機」の水準に迫る勢いである。苦しい中で耐えている金融機関も背に腹は代えられず、貸し渋りを強める可能性がある。

 プラス成長を取り戻したのは、自動車買い替え支援や住宅減税といった政府による強力な景気てこ入れ策が功を奏した面が大きい。だが買い替え支援策は終わり、住宅減税も十一月で期限切れになる。そうなると、景気は再び息切れしないかどうか。

 消費低迷から貸し渋りに至る悪循環を断ち切らない限り、本格的な景気回復は望めない。米国の低迷は日本をはじめ世界経済にも悪影響を及ぼす。銀行に不良債権処理を促す公的資金投入から家計向け住宅減税の延長も視野に入れ、米国はもうしばらく、てこ入れに踏ん張ってほしい。

 

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