「四代目江戸家猫八」を襲名した江戸家小猫さんがきのう、寄席の公演に先立ち、上野動物園(東京都台東区)で襲名を披露した。野外ステージに並んだウマやニワトリ、フクロウなどから祝いの「口上」を受けるという動物好きの猫八さんらしい趣向だった▼動物の鳴き声を研究するため、猫八さんは若い時から上野動物園に通った。カバの鳴き声は「カバ園長」で知られた飼育係の西山登志雄さんから教わったという。「動物がいなくなったら物まねはできない。自然環境の大切さを訴えていきたい」とエコを語るのも猫八さんらしい▼先代の父から「おれが八十八歳になったら猫八を襲名しろ」と言われていた。八十歳で亡くなった先代が生きていれば今年で八十八歳。自身が還暦を迎えることもあり襲名を決意した▼二十九日に死去した三遊亭円楽さんの名跡は来年三月、弟子の楽太郎さんが六代目を襲名することが決まっていた。弟子の晴れ姿を見ずに世を去るのは無念だっただろう▼長寿番組「笑点」はきのう、円楽さんの追悼番組を約三十分間放送した。豪快な笑い声で大喜利を仕切る約二十年前の円楽さんに懐かしさがこみ上げた▼「落語家は死ぬと芸まで持って行ってしまう」と現司会者の桂歌丸さんは死を惜しむ。跡を継ぐ者たちが徹底して芸を磨き、先代を乗り越える。それが一番の恩返しになる。