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著作権制度 デジタル時代の対応を急げ(11月2日付・読売社説)

 デジタル時代に著作権の制度が追いついていない――。改めて、そう考えさせられる事態だ。

 著作権者の団体が地上デジタル放送(地デジ)専用の録画機を発売したメーカーを訴えることになった。

 著作権法は、デジタル方式による録音、録画機の購入者に、価格に応じて一定額の「補償金」を支払うよう定めている。

 デジタル技術を使うと高品質の複製が何度もできる。こうした複製が増えると、映画やドラマのDVDが売れなくなる。補償金はこの分の著作権料に当たる。

 補償金はメーカーが利用者から徴収する。機器の価格に200〜400円を上乗せして販売し、権利者の団体に支払う。

 ところが、今年2月、他社に先駆けて地デジ専用の録画機を発売した東芝が補償金の徴収と支払いに協力することを拒んだ。

 一部他メーカーも、こうした東芝の姿勢に追従している。

 背景には地デジ録画を巡るメーカー団体の持論がある。「ダビング10」技術により複製は最大10回に制限されており、無限回のコピーができないのだから、補償金の対象ではない、と言う。

 著作権法を所管する文化庁はこれを否定し、補償金の対象になるとしており、俳優の団体、放送局などで作る「私的録画補償金管理協会」が、訴訟による決着を目指すことになった。

 法解釈でこれだけの差があるのであればやむを得まい。

 ただ、メーカー側が事実上の実力行使に出たことは深刻だ。著作物を保護しつつ、円滑な利用を促すために、制度の抜本的な見直しが急務と言わざるを得ない。

 メーカーの主張が通れば、この制度は立ち行かない。2011年に地デジへ完全移行すると補償金はゼロになる。著作権者側も、コピーし放題は容認できない。ネットには違法コピーが出回っており事態を一層悪化させる。

 映像、音楽など「コンテンツ市場」で日本の国際収支は大幅な赤字が続いている。攻勢を続ける米国には、巨大資本、世界共通語の英語という強みがある。

 欧州は、日本と似た補償金制度を使い、映像、音楽などの著作権者を強力に支援している。特に補償金の対象機器が日本よりも広いことが特徴で、パソコンなどにも及ぶ。補償金の総額も巨額だ。

 日本も、欧米の仕組みを参考に著作権者とメーカーなど関係者が協議して、共存できる法制度を検討することが大切だ。

2009年11月2日01時06分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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