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NTT改革 国際競争力強化を主眼に(11月2日付・読売社説)

 情報通信産業を成長のエンジンとするには何が必要か。総務省に設けられた特命チームで議論が始まった。

 有識者や通信、放送業界の代表らが、1年程度かけて政府の新たなIT(情報技術)戦略を策定する。最大の焦点は、NTTの経営形態の見直しだ。

 1999年のNTT再編成から10年の節目に、そのあり方を再検討する意義は大きい。その際の議論では、NTTを核にした情報通信産業全体の国際競争力強化の視点が欠かせまい。

 1985年の民営化以降、NTTに対しては通信網を独占することへの批判が絶えず、組織分割の是非が何度も議論されてきた。

 99年には長距離・国際会社と東西地域会社に分ける再編成が実現したが、持ち株会社による一体経営は維持された。NTTのライバル企業などは、資本関係を断ち切る「完全分割」など、再度の経営形態の見直しを求めている。

 だが、通信市場の主役は、固定電話から携帯電話やインターネットへと移っている。NTTグループの高速大容量通信や携帯サービスのシェアは、半分前後にとどまり、かつての地域電話網のようなNTTの独占状態にはない。

 固定電話網が中心だった時代の議論の蒸し返しは建設的でない。より重要なのは、世界の通信市場をにらんだ体制づくりだ。

 欧州の携帯電話メーカーは、途上国で携帯電話会社を設立し、自社製の端末をまとめて輸出している。中国では政府系金融機関と携帯電話会社が連携し、官民一体で海外進出を進めている。

 これに対してNTTの海外展開は遅れ、日本の通信技術も国際的に孤立している。通信機器や端末が輸出できず、日本メーカーの海外展開も大きく出遅れた。

 情報サービスの分野では、米国のアマゾンやグーグルが、NTTの高速大容量通信網を駆使して、日本でも順調に顧客を増やしている。このままでは日本の情報通信産業はハード、ソフトの両面で、欧米勢に席巻されかねない。

 劣勢挽回(ばんかい)には、NTTを国際企業に脱皮させることが必要だ。NTT自身も「内向き」の経営体質を改めなければならない。

 通信網や技術の開放を進め、国際競争に向けて足腰を鍛えるべきだ。グループの枠を超えた提携や統合も選択肢となろう。

 情報通信産業の国際化はNTTだけではできない。特命チームは官民をあげて取り組むIT戦略の構築を目指してほしい。

2009年11月2日01時06分  読売新聞)
東京本社発行の最終版から掲載しています。
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