HTTP/1.1 200 OK Date: Sat, 31 Oct 2009 21:16:54 GMT Server: Apache/2 Accept-Ranges: bytes Content-Type: text/html Connection: close Age: 0 東京新聞:ポスト京都 『架け橋』になるときだ:社説・コラム(TOKYO Web)
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【社説】

ポスト京都 『架け橋』になるときだ

2009年10月31日

 「ポスト京都」の年内合意ができなくなった。十二月のコペンハーゲン会議(COP15)で大枠を決め、一年以内の決着をめざす。だが、その間にも温暖化は進む。悲観している暇はない。

 二〇〇九年のCOP15で、京都議定書に続く一三年以降の温室効果ガス削減ルール(ポスト京都)に合意する−。二年前のバリ会議(COP13)で決まったことだ。その合意ができなくなった。

 削減義務をめぐる先進国、途上国間の深い溝は埋まっていない。〇五年比20%の削減数値を盛り込んだ米国の温暖化対策法案も、上院通過のめどが立っていない。このままでは、先進国により重い義務を求める中国やインドなど、新興国の非難の的になるだけだ。

 世界の排出量の四割を占める米中を交渉の場につなぎ留め、実効性のある新議定書を作るには、決着の先送りもやむを得まい。

 COP15では、まず法的拘束力のない「政治合意」をめざすという。国連気候変動枠組み条約のデブア事務局長は、合意文書に盛り込むべき内容として、先進国の意欲的な数値目標と、途上国への具体的な資金援助を挙げている。温暖化の進行による打撃は、途上国ほど深刻だ。危機回避には先進国の資金や技術が欠かせない。中国やインドも、交渉を決裂させたいわけではない。先進国の意欲と援助が、途上国の参加を促し、新議定書採択への道を開く鍵になるのは間違いない。

 そこで脚光を浴びるのが、日本の存在だ。鳩山首相は九月の国連演説で「二〇年までに一九九〇年比25%削減」という、意欲的な目標を表明済みだ。資金、技術の両面から途上国の温暖化対策を支援する「鳩山イニシアチブ」も提示した。いずれも国際的な評価は高く、政治合意、さらに新議定書採択に向けてリーダーシップを発揮できる環境は整っている。

 森林保護などに充てられるインドネシアへの四億ドル(約三百六十億円)の円借款が、鳩山イニシアチブの初適用になる。だが、これを単なる「援助枠」にとどめるべきではない。先進国から途上国へ資金や技術をよりスムーズに移転できる仕組みを提案し、政治合意の質を高めたい。

 COP15を失望の場にしてはならない。首相は所信表明演説でも「先進国と途上国との架け橋としての役割を積極的に果たす」と述べた。COP15は、その意欲を実行に移すチャンスになる。

 

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