王者(リーダー)、挑戦者(チャレンジャー)、後追い(フォロワー)、すき間狙い(ニッチャー)――。1つの市場を争う企業を、マーケティング分析でこう分類することがある。王者はトップ企業だ。挑戦者はその座を狙う存在を指す。
▼王者のものまね品を安く売るのが後追い。少数派をつかむのがすき間狙いだ。挑戦者の戦略は2つ。特徴ある商品を用意し王者との違いを打ち出す。それをテコに2強、3強が拮抗(きっこう)しているイメージをつくることだ。例えばコンビニでは、2位と3位の企業がおにぎりや洋菓子などを武器に首位奪取に挑んでいる。
▼王者も慢心すれば転落する。アサヒビールはスーパードライという一枚看板に頼り過ぎ、総合力のキリンが首位を奪還。スーパーが強かった日用衣料では「ユニクロ」のファーストリテイリングがフリースで一点突破し今や王者に。ブームの格安ジーンズでスーパーが同社を後追いするなど、立場は入れ替わった。
▼年金問題などを掲げ定石通りの挑戦者戦略が奏功した民主党だが、王者に必須の整合性ある全方位戦略を用意できず、ニッチャー勢が看板商品を担う。攻め所を決めあぐねる自民党は、挑戦者ではなく、民主党もどきの後追い党になりはしないか。両者が立ち位置を自覚しきちんと競ってくれないと有権者が困る。