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公園の雑木林でトチノキの大木がずいぶん葉を落とした。差し込む光が、散り敷いた枯れ葉の上に日だまりをつくる。十月尽に今月の人と言葉から▼東京都心をぐるり回る山手線が命名百周年を迎えた。品川駅の立ち食いそば店で33年働く園部美子さん(68)は、湯気ごしに時代を見てきた。「朝は『行ってくるよ』なんてね。昔のほうがゆっくりしていたかな。最近は無言のお客が多いね」▼新潟県中越地震から5年。旧山古志村では「かあちゃん」たちが腕をふるう郷土料理の店が繁盛している。「村に足を運んでくださる方に休んでもらえる場になれば。それも地震のときに助けていただいた恩返しかな」と五十嵐なつ子さん(58)。コシヒカリのご飯のお代わり自由がうれしい▼7年後の五輪がリオに決まり、浜松市で柔道を教えるエジソン・シルバ・バルボザさん(48)に笑顔が広がった。畳の上で日系ブラジル人の子らが稽古(けいこ)に励む。「日本で育ち、日本の武道を学んだ子たちが祖国の大舞台に立つ日がくる。わくわくします」▼横浜の高齢者ソフトボールチームには80歳以上が5人いる。その名も「バルーンエルダリー(空飛ぶ老人)」と意気軒高だ。66歳の近藤敬寿さんは「チームでは『若いもん』と呼ばれて、それがいいプレッシャーになる」▼全身に障害のある佐世保市の松本涼子さん(61)は、わずかに動く右手で四半世紀、俳句を詠んできた。〈母に似し寮母の手つき栗御飯〉〈海見えて郷(さと)恋しかり落椿(おちつばき)〉。句集も編み、次は全国レベルでの入賞を目標に、日々励む。